生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年4月9日
 
 

日本図書館協会の会員の種類と権利 (にほんとしょかんきょうかいのかいいんのしゅるいとけんり)

categories and rights of membership of the Japan Library Association
キーワード : 個人会員、施設会員、役員の選挙権・被選挙権、役員数の比率、職能団体
春田和男(はるたかずお)
2.会員の種類と権利の変遷
 
 
 
 
  【任意団体時代(明治25(1892)年〜昭和5(1930)年)】
 会員は会費額の違いにより、通常会員と特別会員に大別されている。なお、明治41(1908)年3月29日から大正元(1912)年11月2日までは通常会員のみである。会員の対象は当初、図書館関係者のみであったが、明治41(1908)年の規則改正以降は図書館施設等も含まれている。任意団体時代の会員区分は、個人・施設の別ではなく、会費額によるものとなっている。
【戦前の社団法人時代(昭和5(1930)年〜昭和20(1945)年)】
 会員は任意団体時代と同様、会費額の違いにより、通常会員と特別会員に大別されている。会員の中には個人と施設の両方が含まれている。会員の対象には、図書館関係者のほか、日図協の趣旨に賛同する者が含まれている。昭和17(1942)年の改正では、読書教育に関与する者が付け加えられている。
【財団法人時代(昭和20(1945)年〜昭和22(1947)年)】
 会員は施設か個人かによって、正会員と研究会員に大別されている。正会員、研究会員ともに役員の選挙権と被選挙権、会議の議決権は付与されていない(寄附行為第21条、会員規程第3条)。
 会の運営を担う主な役員には、評議員、理事、常務理事、理事長、副会長、会長がある。これらの役員は、文部省関係者、公立図書館長、大学図書館長などで構成されている。財団法人時代の日図協は実質、施設の会員を中心に運営されていたといえる。
【戦後の社団法人時代(昭和22(1947)年〜現在)】
 会員は当初、会費額の違いによって、正会員と特別会員に大別されていた。昭和25(1950)年の定款改正以降は、個人か施設かによって、正会員と特別会員に大別されている。その後、昭和55(1980)年の定款改正により、正会員を個人会員、特別会員を施設会員に改めた。
 主な役員には、評議員と理事がある。評議員は総会で互選され、理事は評議員会で会員の中から選挙により選ばれる(定款第16条、第17条)。昭和25(1950)年の定款改正では、評議員と理事の選出方法が変更された。評議員は、正会員と個人の賛助会員の中から都道府県ごとに選ばれる。理事は、評議員会で、正会員と個人の賛助会員の中から選挙により選ばれる(定款第19条)。総会の構成員は、正会員と個人の賛助会員である。個人の会員には役員の選挙権と被選挙権、会議の議決権が認められているが、施設の会員にはこれらの権利が認められていない。この時期の日図協は、個人の会員を中心に運営されていたといえる。
 昭和55(1980)年の定款改正では、個人会員だけでなく施設会員にも役員の選挙権と被選挙権、会議の議決権を付与した(定款第7条、第19条、第25条)。1980年以降の日図協は、個人と施設の会員が共存して運営しているといえる。また、この定款改正に伴い、定款第19条第5項で別に定めると規定されている役員選挙規程も改正することになった。この規程の中で、評議員と理事の数は、個人会員選出が、それぞれ、120〜140名、21名以内、施設会員選出が、41名、15名以内である。役員数では、個人会員よりも施設会員が少ない。これは、役員数の比率をおおむね3:2に定めることにしたためである。3:2という比率の設定は、財政負担率の高い施設会員の権利を保障しつつ、個人会員のウエイトが下がるのを避けようとしたものである。この規程は現在も存続している。
 
 
 
  参考文献
・春田和男「日本図書館協会の会員と役員の構成に関する考察」『日本図書館情報学会誌』52巻3号、2006年9月、pp.152-172
・春田和男「日本図書館協会の会員の種類と権利に関する考察−社会教育関係団体との比較から−」『日本生涯教育学会論集』28号、2007年7月、pp.51-60
・春田和男「日本図書館協会における個人会員と施設会員の選挙権・被選挙権等に関する考察」『日本図書館情報学会誌』53巻4号、2007年12月、pp.216-235
 
 
 
 
 



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