登録/更新年月日:2009(平成21)年4月9日 |
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日本図書館協会(以下、日図協という)は明治25(1892)年に設立された文部科学省所管の社団法人である。全国レベルの図書館協会では、1876年設立の米国図書館協会、1877年設立の英国図書館協会に次いで、3番目に結成された図書館協会である。 日図協の目的は、全国の公共図書館、大学図書館、学校図書館、専門図書館、公民館図書部、その他の読書施設及びこれらに関係のある者の連絡、提携のもとに、図書館事業の進歩発展を図ることである(定款第3条)。会員は主に個人会員と施設会員からなる。個人会員は日図協の趣旨に賛同する個人、施設会員は図書館、学校、公民館図書部、読書会またはこれらの施設を有する法人、その他の団体である(定款第7条)。会員数は、平成20(2008)年3月31日現在、個人会員が4,982名、施設会員が2,500機関である。日図協は、すべての館種の図書館施設と関係者の声を結集して、図書館事業の振興に取り組むことが期待されている。 日図協の歴史を組織形態によって時期区分すると、次の四つに分けることができる。 第一期は、任意団体時代(明治25(1892)年〜昭和5(1930)年)である。任意団体は、権利義務の帰属先となり得る法的地位(法人格)を持たない団体である。明治25(1892)年、関直(内閣記録局員)、大城戸宗重(内閣記録局員)、田中稲城(東京図書館員)、西村竹間(東京図書館員)らが発起人となり、創立準備会が開かれた。その後、第一例会が開かれ、会則が全会一致で可決された。この時に団体名を「日本文庫協会」とすることが決められた。初代幹事には上記の4名が就任した。明治41(1908)年には団体名を「日本図書館協会」に改めている。 第二期は、戦前の社団法人時代(昭和5(1930)年〜昭和20(1945)年)である。社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体に対し、法人格が付与された団体で、民法に規定されている。また、社団法人の内部組織・活動等に関する根本規則を定款と呼ぶ。日図協では、昭和5(1930)年に社団法人に改組した。その背景として、松本喜一(帝国図書館長)は、1)国家からの補助金を受けやすくすること、2)わが国の学術関係団体にならって日図協も法人組織にすることを挙げている。初代理事長には林癸未夫(早稲田大学図書館長)が就任した。 第三期は、財団法人時代(昭和20(1945)年〜昭和22(1947)年)である。財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、統合されている財産の集まりに対し、法人格が付与された団体で、民法に規定されている。また、財団法人の内部組織・活動等に関する根本規則を寄附行為と呼ぶ。日図協では、昭和20(1945)年に財団法人に改組した。その背景には、1)戦時体制下で多数の会員が集まって会合を開くことが難しいこと、2)文部省が外郭団体化を検討していたため、それに対応するためには財団組織に転換することが望ましいと考えていたことがある。団体名は「大日本図書館協会」となった。会長には岡部長景(元文部大臣)、理事長には近藤寿治(文部省教学局長)が就任した。 第四期は、戦後の社団法人時代(昭和22(1947)年〜現在)である。日図協では、昭和22(1947)年に再び社団法人に改組した。その背景として、理事長兼事務局長の衛藤利夫(元満鉄奉天図書館長)は、財団法人時代の運営が図書館の現場とかけ離れたとの反省に立ち、会員それぞれが責任を持つ体制にするため、社団法人に移行したと説明している。団体名は再び「日本図書館協会」となり、今日に至っている。 br> |
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参考文献 ・春田和男「日本図書館協会の会員と役員の構成に関する考察」『日本図書館情報学会誌』52巻3号、2006年9月、pp.152-172 ・春田和男「日本図書館協会の会員の種類と権利に関する考察−社会教育関係団体との比較から−」『日本生涯教育学会論集』28号、2007年7月、pp.51-60 ・春田和男「日本図書館協会における個人会員と施設会員の選挙権・被選挙権等に関する考察」『日本図書館情報学会誌』53巻4号、2007年12月、pp.216-235 |
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