生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年1月1日
 
 

メディア接触の問題と読書 (めでぃあせっしょくのもんだいとどくしょ)

キーワード : メディア接触、読書、メディア・リテラシー
井上豊久(いのうえとよひさ)
2.メディア接触の問題性への気づき
 
 
 
 
   ケータイに代表されるように人類史上、年代や年齢が逆転した学習経験状況が電子映像メディアほど生じているのは希有であろう。しかし、社会はこの希有な状況の真実に気づいているのだろうか。メディア接触の問題性に関して、親や教師や地域社会は、無関心、無理解で良いのだろうか。気づいても、何もしなくても良いのだろうか。
 情報社会が進展していく中、メディア学習は操作や情報発信・交流の面を中心に進められ、最近ではモラル教育も行われるようになってきている。例えば福岡市ではケータイに関するDVDを作成し危険性の啓発を強化してきている。しかし、まだ、社会の激変には十分に対応できているとはいえない。確かにメディア教育は文字・活字文化・メディア文化を育み、青少年の社会参画を促進する側面もある。
 生涯学習の視点から重要なことは「メディアは構成する」という基本的理解とメディアに関する主体的実践力をもたらす学習である。本調査結果からもメディア、特に急激な電子・ネットメディアの普及が子どもの生活や心身等へ悪影響を与え、多くの問題を含んでいることが考えられる。そうした中、読書活動や文字・活字文化の創造に主体的に取り組んでいる学校や地域では生活改善や言語力の向上など成果を着実に継続発展している。
 我が国の子どもの電子メディア接触の長時間化や遅寝は世界的には珍しい。テレビやゲームなどのメディア接触が読書時間を奪う大きな理由の1つである。親と子、大人と子どもの区別をし、読書を充実させることが、子どものよりよい成長・発達を保障されるという視点からは必要であるという共通理解が出来ていないのではと考えられる。子どもの権利を考え合わせた上で、文字・活字文化を育て、社会を自分なりに解釈し、少しずつ自己決定力を伸ばしていくことによって一人前の責任を果たす大人に育てる、という方向性が社会において位置付いていないのではないだろうか。電子メディアはメディア漬けを子どもに助長し、「モノ」消費を巧妙にあおっている。電子メディアに関して人間を大切にする視点から学習支援するリーダーとなる人たちが、専門家やNPO等とも連携して、実践を粘り強く充実させていくことが重要となろう。メディアと接するならばメディアから離れられる力が必要なのであり、そのための人材育成が求められる。
 ただし、子どもの実態、その家族のあり方、メディア接触、読書活動は多様化、二極化している傾向があり、生活を含め簡単には抜け出せない厳しい問題を抱える子どもまでおり、レベル・環境別の取り組み・学習が必要である。人間が大切にされる視点から生涯を見通した一貫したメディアに関する基礎能力であるメディア・リテラシーが求められる。大半の親が集まる乳幼児期の健康診断時や小学校の入学説明会時などに電子メディアの危険性と共に読書に関する学習機会を提供したり、学校での体系的学習支援、地域社会での啓発等を行うことが求められる。電子メディアは子どもの日常生活の一部となりつつある。中でも、接触時間が長時間化している子どもには現実感、人権意識、人間関係、生命観、共感性等に問題が見られるのではと推測される。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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