登録/更新年月日:2007(平成19)年12月18日 |
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小学校教育は、文部科学大臣が公示する小学校学習指導要領に基づいて行われている。現行の学習指導要領は、各学校がゆとりの中で特色ある教育を展開し、児童に豊かな人間性や基礎・基本を身に付け、個性を生かし、自ら学び自ら考えるなどの「生きる力」を培うことを基本的なねらいとしている。生きる力は生涯学習の基礎的な資質であり、その力の育成は生涯学習社会の実現に向けて重要となる。また、生きる力の育成は、学校教育においてだけではなく、家庭や地域社会が相互に連携してはぐくんでいくことが必要である。そこで、生涯学習の観点に立った小学校教育を充実させていく上での課題を考える。 1)教育基本法改正趣旨の理解 学校教育関係者や社会教育関係者は当然のことであるが、保護者・地域住民も教育基本法改正の趣旨を理解する必要がある。教育の目的・目標、生涯学習の理念、それぞれの教育の役割と連携・協力に関する新たな規定を理解することで、生涯学習の観点に立った小学校教育の充実が図られると考える。 そのためには、教育委員会が主催する学校教育関係者や社会教育関係者を対象とする研修会等において、教育基本法改正の趣旨とともに生涯学習の理念を理解するための学習機会が必要である。また、学校においても校内研修や保護者を対象とした集会等で、同様の学習機会をもって小学校教育と生涯学習との関係を明らかにしていくことが求められる。 2)「生きる力」の育成における学校・家庭・地域の連携 小学校教育では、生きる力を培うことを基本的なねらいとして教育活動を行っている。特に、総合的な学習の時間は生きる力の育成を目指して新設された時間であり、実施に当たって、教師の適切な指導はもちろんであるが、地域の教材や学習環境の積極的な活用を図るなど地域との連携を図っていくことが求められている。 各学校では、子どもたちの生きる力をはぐくむために、授業や学校行事などで保護者や地域の人たちを指導者や学習ボランティア等に依頼し、家庭や地域とのつながりを強めている。都道府県や市町村では、学校・家庭・地域の連携を教育基本計画に位置づけ、積極的な推進を図っているところも見られる。今後は、生涯学習と強く結びついている生きる力を育成するために、学校・家庭・地域の連携を一層推進するための施策が求められる。 3)生涯学習の場としての学校 小学校は児童のための教育の場であるとともに、保護者や地域の人たちにとっての生涯学習の場でもある。学校教育法第85条「学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。」や地方自治法第244条第2項「…(略)…正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」の規定にあるように、学校教育上支障のない限りにおいて、学校を保護者や地域の人たちが利用しやすくなるように努め、児童を含めた地域の人たちの生涯学習の場として活用していくことが求められる。そのための学校施設の在り方についても十分な検討が必要である。 br> |
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参考文献 ・中央教育審議会第一次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」平成8(1996)年7月 ・文部科学省「小学校学習指導要領解説」(総則編)平成16(2004)年3月一部補訂 |
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