生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年12月18日
 
 

小学校教育と生涯学習 (しょうがっこうきょういくとしょうがいがくしゅう)

キーワード : 教育基本法の改正、生涯学習の理念、小学校学習指導要領、生きる力、学・社・民の融合
真柄正幸(まがらまさゆき)
1.小学校教育と生涯学習
  
 
 
 
   平成18(2006)年12月22日、新しい教育基本法が公布、施行された。同法第3条「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」の規定により、生涯学習の理念が新たに示された。また、同法第13条では、「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。」と規定され、学校、家庭及び地域住民等が相互の連携・協力に努めることが新たに示されている。
 平成20(2008)年4月には、教育基本法の改正を踏まえて新しい学校教育法が施行される予定であるが、小学校教育と生涯学習との関連は、さらに深まっていくと考えられる。ここでは、教育基本法の改正を受けて、小学校教育と生涯学習との関連について述べる。
 第3条で生涯学習の理念が新たに規定されたことにより、生涯学習社会(「国民一人一人が生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができる社会」・「学習した成果を適切に生かすことのできる社会」)において、学校はどのような役割を果たしていかなければならないかを真剣に考える必要がある。小学校が生涯学習との関連において、第一に児童に対する教育活動をとおして生涯学習の基本的な資質を養うという重要な役割がある。第二には、教育の目的・目標の実現を目指して行う教育活動において、学校が地域住民にとっても大切な学びの場となる「地域の学校」としての役割が考えられる。
 また、第6条の学校教育では、第2項「前項の学校教育においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」が新たに規定されている。これにより、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とする生涯学習の考え方をもとに、心身の発達に応じて体系的に生涯学習の基礎づくりを行うことが学校教育の役割として考えられる。
 さらに、第13条で学校、家庭及び地域住民その他の関係者相互の連携・協力が規定されたことにより、小学校教育においては、小学校の目的と目標を達成するために、家庭や地域住民その他の関係者との連携をさらに強めていくことが求められている。
 新しい教育基本法の改正で、生涯学習の理念をもとに生涯学習の推進が一層図られ、小学校教育において社会教育を含む生涯学習関係機関との連携・協力がさらに強まり、小学校学習指導要領に示されている児童の生きる力の育成に大きな効果が期待できる。
 そして、同法第17条で規定された政府による教育振興基本計画の策定で生涯学習と学校教育・社会教育との関係が明確に示されることにより、生涯学習の理念に基づいた小学校教育の振興が図られると考えている。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.