生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年12月23日
 
 

近江八幡市のふるさと学習 (おうみはちまんしのふるさとがくしゅう)

hometown learning of Omihachiman-city
キーワード : ふるさと学習、歴史・文化・自然の総合的な学習、過去・現在・未来の時間軸、個人学習・相互学習・集合学習、大学との連携
安部耕作(あべこうさく)
2.近江八幡市民のふるさと学習の実態
 
 
 
 
  【ふるさと学習のニーズ】
1)ふるさと(近江八幡市)のイメージ(時間軸:現在)
 現在の近江八幡市での生活についての住民の意識を把握するための近江八幡市での暮らしやすさに対する設問については、近江八幡市は生活しやすく、愛着がある、近江八幡市はふるさとであると考える人の割合が高いことを確認した。自由記述では、京阪神に近くほどよく都市化され、適度に自然や歴史があるからという意見が多かった。
2)ふるさと(近江八幡市)らしいと感じる要素(時間軸:現在)
 市民が近江八幡市らしさをどう理解しているかという自由記述での設問に対しては、八幡堀や近江商人の町並みに代表される歴史的遺跡と水郷や琵琶湖に象徴される水自然環境を記述する人が多かった。歴史的要素と水自然環境に近江八幡らしさを感じる市民が多いことを確認した。
3)ふるさと(近江八幡市)に関する知識(時間軸:過去および現在)
主な歴史的な場所・史蹟・文化財、民俗(行事)・祭等についての市民の認知度は高かった。しかし、民謡・わらべ唄と昔話の認知度が極めて低く、無形文化財的な民謡・わらべ唄と昔話が伝承されない可能性があるという課題を確認した。近江八幡市の自然や環境の認知度についての市民の認知度も高かった。食文化、伝統工芸・地場産業についても認知度は全般的に高く、過去・現在のふるさとについての認知度は民謡・わらべ唄・昔話以外は高いことが確認できた。
4)ふるさとに関する学習経験・内容・ニーズ
 ふるさと学習を行ったと回答した人の割合は、17.0%と高くはない。ふるさと学習のニーズについては、回答者の約半数が学習ニーズを持っている。ふるさと学習の内容は、「近江八幡の歴史」、「近江八幡の文化」、「近江八幡の自然環境」の順に高い。
5)ふるさと学習の動機
 ふるさと学習をはじめた動機は、ふるさとについて学ぶこと自体に関心があったとする学習すること自体を目的とする動機が、学習成果を何らかの活動に生かしたいとする動機よりも高いことを確認した。
6)ふるさと学習方法の実態とニーズ
 ふるさと学習の方法の実態をみると、個人学習、集合学習、相互学習の順に高い。ふるさと学習方法のニーズについては、集合学習、個人学習、相互学習の順に高い。実態とニーズを比較すると、集合学習のニーズの強さが明らかである。
7)文化財や史蹟や自然等への訪問経験と訪問ニーズ
 ふるさとに関する文化財や自然等への訪問経験・ニーズは高いことを確認した。
8)ふるさと学習経験別にみた地域活動の実態とニーズ
 ふるさと学習を行った人の方が地域活動に参加しており、活動ニーズも強いことを確認した。ふるさと学習を行った人の方が、まちづくり活動へのニーズも強いことがわかった。
9)これからのふるさと(近江八幡市)をどうしたいか(時間軸:未来)
 未来のまちづくりの方向性についての設問については、「医療、介護等の福祉が充実して生涯安心して生活できるまち」、「犯罪や災害がなく安全で安心して暮らせるまち」、「公共交通サービスや道路、下水道、住宅整備等が進んだ居住環境が整ったまち」の順に高かった。
 
 
 
  参考文献
・伊藤俊夫編『生涯学習 社会教育実践用語解説』財団法人全日本社会教育連合会、平成14 (2002)年、64頁(上條秀元、「個人学習」)、88頁(上條秀元、「集合学習」)、114頁(野島正也、「相互学習」)
・安部耕作「近江八幡市民のふるさと学習に関する考察」『日本生涯教育学会論集28』日本生涯教育学会、平成19(2007)年 
・近江八幡市教育委員会生涯学習課編『近江八幡市民のふるさと学習に関する調査報告書』近江八幡市教育委員会、平成17(2005)年
 
 
 
 
 



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