登録/更新年月日:2009(平成21)年1月16日 |
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平成15(2003)年に市町村の教育委員会を対象にした「大学の生涯学習指導者養成に関する需要調査」と「大学における生涯学習指導者養成カリキュラムに関する活動に関する調査」(前ページ)の調査結果に基づき、カリキュラム編成上の課題を説明する。 【説明】 1) 「大学の生涯学習指導者養成に関する需要調査」の概要 目的は、市町村教育委員会が学科等の卒業生に期待している資質・能力と採用の可能性の把握である。調査対象は、「全国生涯学習市町村協議会」加盟240市町村とNPO法人「全国生涯学習まちづくり協会」にかかわりをもつ53市町村の計293教育委員会とした。 調査方法は、アンケート調査をはじめ、有効回答のあった162教育委員会(55.5%)の中から無作為抽出した23教育委員会に調査目的に関する詳細を電話での聞き取り調査を行った。 2)市町村の期待している資質・能力や取得資格と大学のカリキュラムとの整合性 ア.実践上必要な資質・能力が養成できるカリキュラムの編成 市町村教育委員会が卒業生(学生)に期待している第1位から第5位までの資質・能力は、「学級・講座・イベントの企画・運営・評価」、「生涯学習の理論」、「社会教育の理論」、「人間関係の向上」、「常識・マナー」であった。また、「行政に対する理解」は第6位であり「指導技術」は第7位であった。一方、大学では、「生涯学習の理論」、「対象者への理解」、「社会教育の理論」、「学級・講座・イベントの企画・運営・評価」、「社会教育計画などの企画・運営・評価の技法」であり、次に、「人間関係の向上」、「学校教育の理論」、「行政に関する理解」の順であった。 これらの調査結果では大学と教育委員会で身につけさせたい資質能力の第4位までは一致していることから、現行のカリキュラムは教育委員会の期待にほぼ応えているといえよう。しかし、教育委員会が求めている第5位の「常識・マナー」や第7位の「指導技術」は、大学ではいずれも12位であった。 今後は、実践上必要な資質・能力が養成できるカリキュラムの編成が課題となる。 イ.実務を遂行するために必要な資格取得のためのカリキュラムの編成 教育委員会が取得を期待している資格は、第1位から第5位までが「社会教育主事の任用資格」、「まちづくりボランティアに関する資格」、「レクリエーション・インストラクター」、「学芸員」、「司書」の順であった。また、14大学が取得を義務付けている資格では、第1位が「社会教育主事任用資格」であり、第2位が「学芸員」と「教員免許状」、第4位が「司書」であった。この順位は、取得をすすめている46大学でも差異はなかった。 これらの調査結果から、教育委員会と大学が取得を期待している資格は、社会教育に関する資格では一致している。しかし、実務的な民間の資格取得については、温度差がある。 今後は、実務を遂行できる資格取得ができるカリキュラムの編成が課題といえよう。 3)時代に即したカリキュラム編成のための組織づくり 生涯学習に関するカリキュラムは、時代の進展や社会の変化などを見極めながら編成することが肝要である。そのため、今後は、大学における生涯学習にかかわる研究と指導者教育を必要とする教育界や産業界など需要者の期待を的確に把握しカリキュラム化する情報収集と共同研究ができる組織が必要である。 br> |
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参考文献 ・清水 英男編著『大学における生涯学習指導者養成カリキュラムに関する研究(総集編)』聖徳大学生涯学習研究所、平成20(2008)年 ・中央教育審議会答申『新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について』平成20年 ・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター『社会教育主事の職務等に関する実態調査報告書』平成18年 |
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