生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年1月16日
 
 

大学における生涯学習関係カリキュラムの編成 (だいがくにおけるしょうがいがくしゅうかんけいかりきゅらむのへんせい)

formation of lifelong learning-related curriculum of university
キーワード : 生涯学習、カリキュラム、大学、科目、資格
清水英男(しみずひでお)
1.大学における生涯学習に関するカリキュラムの現状
  
 
 
 
  【字義】
 大学における生涯学習関係カリキュラムとは、生涯学習の理念をはじめ人々の学習活動を支援する理論や技法などについての教育と研究を目的とした4年制大学の生涯学習に関する学部・学科・過程・コースなど(以下「学科等」という。)に所属している学生を対象とした教育課程(以下「カリキュラム」という。)とする。その現状を、平成17(2005)年に筆者が実施した「大学における生涯学習指導者養成カリキュラムに関する活動関する調査」結果に基づき説明する。
【説明】
1)「大学における生涯学習指導者養成カリキュラムに関する調査」の概要
本調査は、大学における生涯学習・社会教育指導者養成に関するカリキュラムの実態と編成上の課題を把握し、標準的なカリキュラムの編成と教科書編纂の基礎資料を得ることを目的とし平成17年度に実施した。
 調査対象は、平成16(2004)年11月末現在、社会教育の専門職に関する資格取得を主な目的とし教育課程を編成していた4年制大学から無作為に抽出した101大学である。有効回答数(率)は55大学(54.5%)であった。
2)カリキュラム編成の現状
ア.科目等
 平成17(2005)年大学調査での一般的な学科等のカリキュラムは、生涯学習概論や社会教育学など生涯学習の概要の把握や社会教育にかかわる専門科目が中心であった。
 学校教育に関しては、学校教育概論や学社連携・融合論など学校教育の概要の把握や社会教育にかかわる科目であった。また、家庭教育については、家庭教育概論や子育て支援論など社会教育の科目として編成されていた。さらに、一般教養や外国語をはじめ、経済学概論やプレゼンテーション演習など学生の求めに応じて生涯学習にかかわる幅広い学習ができるよう、共通科目や他の学科等の科目を履修できるよう配慮されていた。
 一方、生涯学習にかかわる学部や学科の中には、家庭教育、学校教育、社会教育に関する科目を設置し、社会教育と学校教育にかかわる資格を取得できるカリキュラムが編成されていた。
そして、有効回答の55大学が学生に身につけさせたいと考えている主な資質・能力としては、「生涯学習の理論」(68.4%)、「対象者への理解」(61.4%)、「社会教育の理論」(59.6%)、「学級・講座・イベントの企画・運営・評価」、「社会教育計画などの企画・運営・評価の技法」(47.4%)、「人間関係の向上」(40.2%)、「学校教育の理論」(38.6%)、「行政に関する理解」(35.1%)の順であった。
イ.資格等
 社会教育主事任用資格や図書館司書、博物館学芸員など社会教育に関する資格取得を奨励し、それらの資格取得に必要な科目が設置されていた。また、自他の学科等の科目を履修し、幼稚園や小学校などの教員免許状をはじめ保育士や介護福祉士、キャンプインストラクターなど生涯学習にかかわる幅広い資格取得も可能となっていた。
 学生に資格取得を義務付けている14大学では、第1位が「社会教育主事任用資格」(71.4%)であり、第2位は「学芸員」、「教員免許状」であり、いずれも42,9%であった。「司書」は35.7%であった。また、資格取得をすすめている46大学では、第1位が「社会教育主事任用資格」(26大学)であり、次に「教員免許状」(24大学)、「学芸員」(22大学)、「司書」(13大学)、「福祉に関する資格」(11大学)の順であった。
 
 
 
  参考文献
・清水 英男編著『大学における生涯学習指導者養成カリキュラムに関する研究(総集編)』聖徳大学生涯学習研究所、平成20(2008)年
・中央教育審議会答申『新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について』平成20年
・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター『社会教育主事の職務等に関する実態調査報告書』平成18年
 
 
 
 
  



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