生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年1月16日
 
 

大学における生涯学習関係カリキュラムの編成 (だいがくにおけるしょうがいがくしゅうかんけいかりきゅらむのへんせい)

formation of lifelong learning-related curriculum of university
キーワード : 生涯学習、カリキュラム、大学、科目、資格
清水英男(しみずひでお)
3.大学における生涯学習関係カリキュラム編成上の視点
  
 
 
 
   平成15(2003)年市町村調査と平成17(2005)年大学調査の調査結果や聖徳大学人文学部生涯教育文化学科での事例研究などを基礎資料とし、生涯学習の理念や人々の学習活動を支援する理論・技法などについての教育と研究を目的とした学科等の生涯学習に関するカリキュラム編成上の視点を説明する。
【説明】
1)講義と演習科目の融合など効果的な学習・教育方法の推進
 専門科目で講義科目と演習科目を融合したり、理論と実技を併用する科目を設置したりすることによって生きて働く知識・技術を身につけることのできるカリキュラムを編成する。
 また、e-learningや教育機器の活用、現地学習や現役の専門家の講演など授業効果を高める学習・教育方法を実施する。
2)豊かな人間性の涵養と現代的課題に対処できる資質・能力の養成
 「コミュニケーション」や「人間としての生き方・在り方」に関する科目などを設置し豊かな人間性の涵養を図る。また、「異文化理解」や「情報活用」、「少子高齢社会の教育」などの科目を設け、生涯学習社会で求められている現代的課題に対処できる資質・能力を身につけさせる。
3)生涯学習に関する資格が取得できるような専門科目の体系的な編成
 社会教育主事任用資格に必要な科目を専門科目の必修とし、図書館司書と博物館学芸員の資格が取得できる科目を中心としたカリキュラムを編成する。また、希望に応じて教員免許状や保育士、キャンプインストラクターやホームヘルパーなどの資格を取得できるようなカリキュラム上の配慮を行う。この場合、学生の求めに応じて幅広い学科の履修や資格の取得ができるよう全学的な配慮を行う。
4)生涯学習施設実習やインターンシップなど体験学習の重視
 生涯学習や社会教育は、「実践の過程で理論がうまれる」といわれるように実践が重視さている。そのため、生涯学習にかかわる実習やインターンシップ、ボランティア活動などの導入を図り、それらを単位として認定することによって奨励し、体験に基づいたコミュニケーション能力の向上や実践化による理論の定着をすすめる。
5)調査・研究能力の養成
 学生が自主的・自発的な調査研究活動ができる資質・能力を高めるために演習(ゼミナール)や卒業研究などを重視し、生涯学習に関する専門家としての調査研究能力を高める。
6)時代の進展に即したカリキュラムの開発等に関する大学単位の組織 の設置
 大学の所在地を中心とした生涯学習にかかわる民・官・産・学の代表者が構成メンバーとし、生涯学習のカリキュラム開発を主目的とした組織を設置する。ここでは、民・官・産の学科等への要請が把握できるとともに、大学が行う生涯学習施設実習やインターンシップ、ボランティアなど体験学習と進路に対する支援が期待できる。これらを生かすことによって、カリキュラムを充実する。
7)生涯学習指導者養成と教科書づくりにかかわる全国組織の充実
 生涯学習に関する指導者養成と体系的実証的な教科書づくりを主な研究目的とした全国レベルの研究協議組織「全国生涯学習指導者養成と活用に関する研究協議会」を充実する。なお、メンバーは、学科等の教員をはじめ、社会教育や学校教育関係者をはじめ、生涯学習に関する施設の指定管理者制度やPFIに携わる企業、カルチャセンターやスポーツクラブなど生涯学習産業と企業の社員教育の担当者などの加盟を促進する。
 
 
 
  参考文献
・清水 英男編著『大学における生涯学習指導者養成カリキュラムに関する研究(総集編)』聖徳大学生涯学習研究所、平成20(2008)年
・中央教育審議会答申『新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について』平成20年
・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター『社会教育主事の職務等に関する実態調査報告書』平成18年
 
 
 
 
  



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