生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年4月2日
 
 

ニュージーランドのウォーターワイズ (にゅーじーらんどのうぉーたーわいず)

Waterwise program in New Zealand
キーワード : ウォーターワイズ、水辺活動、安全教育、学校教育
青木康太朗(あおきこうたろう)
2.ウォーターワイズ・プログラムの概要
 
 
 
 
  (1)参加者
 参加者は,プログラムの内容を理解でき,体力的にも問題のない9歳から13歳までの児童生徒としている。しかし,安全を確保するため,ライフジャケットを着けた状態で50m,着けていない状態で25mを泳げることが参加の基本条件となっている。
(2)指導者
 指導者は,エグザミナー(Examiner),セッションリーダー(Session Leader),インストラクター(Instructor),ヘルパー(Helper),教師(Teacher)の5つのカテゴリーに分類されている(「資料2」表1を参照)。
 インストラクターは,マニュアルに沿ったトレーニングコース(5日間)を受講し,筆記及び実技の試験に合格した者である。インストラクターの大半は,プログラムに参加している子どもの保護者や教師である。
(3)プログラム
 プログラムの内容はセンターによって多少異なるものの,主にオプティミストディンギー(OP)を使ったセーリングが行われている。全員が一斉に活動できない場合は,陸でシミュレーターを使ったセーリングの練習や艤装・解装の練習を行っており,中にはブローカートを使ったセーリングを行っているセンターもある。また,セーリングの他にも,カヤッキングを同時に実施しているセンターも多く,きれいな海岸線を生かしたカヌーツーリングやレース,カヌーをつなぎ合わせて入れ替わるといったカヌーゲームを行っている。(「資料2」写真3〜6を参照)
 また,学校によっては,ヨットのメインシートを使って滑車やテコの原理を説明して理科教育を行っていたり,活動エリア周辺の水辺を歩きながら水鳥や水草等の水生生物について解説することで自然保護や環境問題について考えさせている学校もある。
(3)ウォーターワイズにおけるセーリング指導の基準
 ウォーターワイズでは,それぞれの子どもに合わせて指導内容を作成するため,セーリングの知識と技術に関する3段階の基準を設けている(「資料2」図2,3を参照)。インストラクターは,これらの基準に沿ってレッスンレコードを作成し,参加者の個人の能力や成長に合わせた段階的な指導を行っている。
(4)安全規定
 ウォーターワイズには,マニュアルに沿った詳細な安全規定がある。基本的な安全確認の項目は,気象(weather),適切な服装(appropriate clothing),レスキューボート(rescue boat),ライフジャケット(buoyancy aids),指導者と参加者の比率(ratios),指導者(instructors),装備品(equipment)であり,インストラクターは活動前にこれらの項目を確認し,規定に沿って活動することが義務付けられている。
 特に,指導者と参加者の比率(ratios)は重要で,水上での指導は1人のインストラクターに対して4人の子ども,もしくは1艇のレスキューボートに対して4艇のディンギーといった規定が定められている。また,レスキューボードについても,インストラクターが必ず1名乗船し,ヘルパーと2人以上で指導しなければならないという規定が定められている。(「資料2」図4を参照) 添付資料:資料2
 
 
 
  参考文献
・田村祐司「ニュージーランド、ウォーターワイズ&ウォーターセイフティ協会視察報告」,水圏環境リテラシー教育推進プログラム成果報告書(2009年3月26日)pp32-34.
・青木康太朗,酒井哲雄,植木弥生「ニュージーランドにおけるウォーターワイズの現状とわが国の取り組み」,大阪府キャンプ協会研究紀要(2006年3月)pp30-37.
 
 
 
 
 



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