生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年4月2日
 
 

ニュージーランドのウォーターワイズ (にゅーじーらんどのうぉーたーわいず)

Waterwise program in New Zealand
キーワード : ウォーターワイズ、水辺活動、安全教育、学校教育
青木康太朗(あおきこうたろう)
3.我が国におけるウォーターワイズに関する取組とその効果
  
 
 
 
  (1)我が国におけるウォーターワイズに関する取組の事例
 近年,ニュージーランドのウォーターワイズは諸外国でも評価されており,我が国でもウォーターワイズの概念に基づいた取組がいくつか行われている。
@ 水に賢い子どもを育む年間型活動プログラム
 ブルーシー・アンド・グリーンランド財団では、平成14(2002)年度より「水に賢い子どもを育む年間型活動プログラム」を小学校の総合的な学習の時間で実施している。この事業は、「安全学習メニュー」、「体験メニュー」、「実験メニュー」、「学習メニュー」、「もの作りメニュー」の5つのメニューに分類されており、環境保全や安全対策の大切さを学ぶことを目的に年間を通じて様々な水辺活動に取り組んでいる。
A 日本版スクールウォーターワイズ
 国立室戸青少年自然の家では、平成14(2002)年度より小学校を対象に「日本版スクールウォーターワイズ」(3泊4日)を実施している。この事業は、マリンスポーツ、自然観察、創作活動、生活文化、安全教育、環境教育といった多様な海の自然体験活動を通して人間と海とのかかわりについて総合的に学ぶことで,海についての理解を深め,興味・関心を高めるとともに,自然環境の保全に取り組む積極的な態度や海での安全知識(危険回避能力)を身につけることを目的としている。
B 愛・地球博パートナーシップ事業「国際セーリングシリーズ」
 財団法人日本セーリング連盟は、平成17(2005)年の日本国際博覧会(愛・地球博)のパートナーシップ事業として「国際セーリングシリーズ」を開催した。その基本方針の中には、ウォーターワイズの思想が取り入れられており、様々なプログラムを通じて、「水と楽しく親しむ」、「水辺の環境保全や環境問題の関心を持ってもらう」ことを目標としている。
(2)ウォーターワイズに参加した子どもの海に対する意識や態度の日新比較
 前述のように,我が国でもウォーターワイズの概念に基づいた取組が行われているなか,筆者は,ニュージーランドのウォーターワイズに参加した子どもと日本版スクールウォーターワイズに参加した子どもの海に対する意識や態度の比較を行い,それぞれのプログラムの教育効果に関する検証を行った(「資料3」表3,4を参照)。
 その結果,日本版スクールウォーターワイズに参加した子どもたちは,「海の生き物のことを自分で調べることができる」,「季節によって,海にいる生き物が変わることを知っている」など海に関する知識や海洋に関する文化や環境保全に関する意識が比較的高いことが分かった。一方,ニュージーランドのウォーターワイズに参加した子どもたちは,「海など自然の中で遊ぶことが得意である」,「海の楽しさや素晴らしさを人に伝えることができる」など海での活動に対する理解や積極的な態度が高く,仲間と協力したり,助け合ったりしながら積極的に活動することが得意な傾向にあることが分かった。
 以上の結果より,ニュージーランド及び日本のウォーターワイズでは,それぞれ目的やねらいに沿った教育効果が得られていることが窺えた。 添付資料:資料3
 
 
 
  参考文献
・青木康太朗,酒井哲雄,植木弥生「ニュージーランドにおけるウォーターワイズの現状とわが国の取り組み」,大阪府キャンプ協会研究紀要(2006年3月)pp30-37.
・青木康太朗「子どもたちの海に対する意識や態度に関する日新比較研究」,日本生涯教育学会論集30(2010年9月)pp133-142.
 
 
 
 
  



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