登録/更新年月日:2008(平成20)年2月5日 |
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1990年代にオーストラリア各地で叢生したメンタリング運動の先駆は、1970年代の萌芽的プログラムにあった。1976年に保護者が開始した学校でのボランティア活動であるLearning Assistance Program(LAP)ならびに1980年代に設立されたBBBSオーストラリアである。 LAPは、生徒の学習支援に向けた、生徒・ボランティア・教員の連携によるプログラムであり、オーストラリア独自のメンタリング・プログラムの代表である。1995年にはLAP Associationとなり約1,000校で1万人のボランティアを擁する運動となった。LAPの成功は、(1)常に一対一の、(2)関係性に関わる、(3)自身と自尊心を築く、(4)学習に創造的アプローチを行う、(5)学校での保護者と地域コミュニティの参加促進、に起因していた。 BBBS(Big Brothers Big Sisters)については、米国の影響下、メルボルンでの試行後、1982年にBBBSオーストラリアが設立された。BBBSオーストラリアは7歳から17歳の青少年に良質のメンタリングを提供している。カソリック家族福祉局の主導下、メルボルン東部都市地域での実施の後、The Christian Brothersによる主催、Jesuit Social Servicesとの合併等を経て、2001年にはBig Brothers-Big Sisters Australia Ltd.が既存のBBBSのプログラムの認定促進のために設立された。 上記に基礎づけられながら、1990年代には前節の深刻化する青少年問題への対応としてメンタリング運動が本格的に始動した。1994年にはThe School Volunteer Program(SVP)が開始され、高齢者メンターによる異世代メンタリングが学校でのボランティア活動の一環として展開されるようになった。1998年には、The Smith FamilyによるLearning for Lifeが識字のためのメンタリング・プログラムを実施した。1999年には危機的状況にある中高校生向け就業支援向けプログラムが開始され、Dusseldorp Skills Forum が米国各地のメンタリング・プログラムへの研修視察旅行を行った。 1999年には、教育訓練青少年問題省委託のInternational Year of Older Persons Mentoring Research Projectが出版され、メンタリングの研究成果のレヴューと各国の現状が要約された。当時オーストラリア国内には少なくとも200のメンタリング・プログラムが存在し、うち45の学校に基盤を置くプログラムは9類型に分類された。同報告書はこれら代表事例の現状と成果を総括すると共に、教育当局・政府、学校に対してメンタリング運動の推進に向けた具体的施策勧告を行っている。 2000年にはNational Mentoring Association of Australia(通称 Mentoring Australia)が多様な形態のメンタリングにおける最良実践の促進に向け指導性と専門的支援ならびに国家的焦点提供を使命として結成され、オーストラリアにおけるメンタリング運動の中核となっている。 br> |
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参考文献 ・渡辺かよ子「オーストラリアにおける青少年向けメンタリング運動」日本生涯教育学会論集27、2006年 |
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