登録/更新年月日:2012(平成24)年3月20日 |
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【目的】 学習内容別に、地域指標と講座等受講者率、学習率との関係から、生涯学習推進の社会的な効果の一端を明らかにする。 【研究方法】 地域指標と講座等受講者率や学習率との関係を分析する方法としては相関係数を用いた。 ここでいう講座等受講者率とは学級講座、研究会、読書会等の、人口100人当たりの延べ受講者数のことであるが、集会等は除いた。平成20(2008)年の社会教育調査のデータを用いたので、開設主体は教育委員会、首長部局、社会教育施設、独法や民間の博物館、文化会館等である。また学習率については、平成20(2008)年の内閣府「生涯学習に関する世論調査」の地域ブロック別のデータを使った。これらの調査データでは、学習内容分類は表1のようになっている。 学習内容別講座等受講者率については、次の1)と2)のような観点からも分析を行った。 1)東京都と沖縄県を除く45道府県全体。 2)高齢化率が「低の県」「中の県」「高の県」。 高齢化率に着目したのは、@)地域指標が高齢化の影響を大きく受けている、A)今後の少子高齢化の進行への対応は避けて通れない課題になる、と考えたからである。東京都と沖縄県を除いた理由であるが、東京都の場合は1人当たりの県民所得が飛びぬけて高く、沖縄県の場合は高齢化率が飛びぬけて低く(図1、図2を参照のこと)、そのような特殊な地域のためデータが外れ値になる可能性があると考えたからである。 【地域指標の構造の枠組み】 生涯学習推進に関係がありそうな要因を地域指標として取り出し、それらの影響の与え方から構造化したものが図3である。矢印は影響の方向を表している。今回は主に県レベルのデータを使っているので、ここでは県レベルの地域指標を示している。 図3では地域社会に大きな影響を与えるのもとして高齢化があり、高齢化が県民所得に影響を与え、それが県の財政力に影響を与え、それにより県財政の中での人件費割合や警察費割合、老人医療費、老人福祉割合、社会教育費等が決まるのではないか、さらには社会教育費が公的機関・施設等の講座等受講者率や学習率に影響を与え、講座等受講者率や学習率が市民性育成の一面を表すボランティア活動率や地域の安全・安心の一面を表す犯罪率、健康、中高年就職率、個人レベルの経済的豊かさ等に影響を与えるのではないかといった構造になっている。したがって、講座等受講率や学習率といった生涯学習推進の直接的な効果は図3の右側の4つの要因で示されている。さらにそれらに効果があれば、県財政等に対して何らかの影響を与える可能性があり、そのような間接的な影響は点線の矢印で示した。もちろん、これは一つの考え方を示したものにすぎない。 この図3に即して地域指標を具体的にあてはめて、影響の程度をひし形の数値で示したものが下の図4である。ひし形の中の数値は矢印の元にある地域指標と矢印の先の地域指標の間の相関係数である。さらに、高齢化は地域指標に直接影響を与えているのではないかと考えられるため、それぞれの地域指標の下に高齢化率との相関係数も記した。なお、一番右の三番目の「健康」のところは適切な地域指標を探すことができなかったことから、今回は参考として、人々の健康が影響を与えると推測できる「受給対象者1人当たりの老人医療費」や「県財政の老人福祉割合」でみることにした。なお、「県財政(行政)の財政力指数」「県財政の人件費割合」「県財政の警察費割合」もあくまでも参考としてあげることにした。 地域指標のデータは、「社会生活統計指標−都道府県の指標−2010」を使った(表2)。 br> 添付資料:表1、図1〜4、表2 |
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参考文献 ・浅井経子「生涯学習推進の効果に関する分析−ボランティア活動率、投票率、犯罪率への社会教育費の効果−」日本生涯教育学会論集28、平成19年7月。 ・浅井経子「地域指標との関連からみた生涯学習支援と生涯学習の構造−生涯学習推進の効果分析を通して−」日本生涯教育学会論集28、平成20年9月。 ・浅井経子「生涯学習推進計画立案のためのガイドライン作成に向けて」日本生涯教育学会論集32、平成23年9月。 ・浅井経子「生涯学習推進の効果・その1、その2」(平成21年8月登録)、『生涯学習研究e事典』平成21年8月。 |
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