生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

パートナーシップとコラボレーション (ぱーとなーしっぷとこらぼれーしょん)

partnership and collaboration
キーワード : 連合体、協働、パートナー、新しいアプローチ
池田秀男(いけだひでお)
2.パートナーシップの必要性と期待される効果
 
 
 
 
   パートナーシップのアプローチは何故必要なのか。その背景としては、一方で過去20年間における行政施策の硬直化やタテ割りに起因する対応能力の劣化があり、他方で生活や労働に付随する教育力の衰退、不満をもつ青少年や犯罪の増加、少子高齢化対策、男女共同参画社会への移行、家庭や地域再生の問題、あるいは環境問題など、今日の社会的公共的政策課題はいずれも、「単独」施策では効果的に取り組むことが困難であり、各関係者や関係機関の連携や協力を必要不可欠としている。あれとこれとを考え合わせると、これらはすべて関係パートナーの連合や協働に基礎をおく新しい政策枠組に立脚したアプローチを求めていることが理解される。
 さらに、一方で人びとの出生から死亡までの生涯各段階の間の学習の接続と、他方で家庭、学校、地域、職場及び社会の間の各学習の統合を基本原理とする生涯学習の推進は、もともと各関係者や関係機関の橋渡しや密接な結びつきを通しての一貫性のある総合的なアプローチを必要不可欠としており、ここでいう新しい政策枠組とパートナーシップのアプローチなしには、その本来の理念達成への手掛りは得られないことを特徴としている。このことを踏まえ、最近の地域生涯学習推進計画では、地域ベースのパートナーシップとコラボレーションはその計画の鍵を握るものとして重視されるようになってきている。
 主題をめぐる状況の変化や新しいアプローチに対する必要性は、そのように大きいものがあるが、新しいアプローチからそれに対応するような成果は期待できるのか。
 期待されている成果の第一は、パートナーシップは関係機関の協働によって大きな新規投資を必ずしも必要とせずに、有限の資源の不必要な重複を回避し、その最適化と有効な活用を実現することである。第二は、パートナーの協働による学習機会の拡大と相乗効果としての学習支援サービスのレベル・アップ及び学習の質の保証に貢献することである。第三は、これらのパートナーシップ効果を通して、それが学習支援サービスの最大化や最適化とシームレスな学習アジェンダの提供に資すると同時に、公正で平等な学習機会を万人が身近に利用できる可能性の実現への道を開くことである。第四に、パートナーシップの管理運営における各参加者間の地位の対等性と開放的なコミュニケーションにより、関係者の幅広いアイデアの顕在化と隠された問題や重要事項の同一視を可能にし、参加者相互の信頼関係や協同精神及び創造的学習文化の醸成に資することである。さらに第五に、このような特性と可能性を秘めたパートナーシップの充実と発展は、個々の学習者や学習組織だけでなく、地域における諸組織及び地域全体の学習コミュニティ形成への戦略的方策として期待されることである。
 
 
 
  参考文献
・Naomi E. Sargant, Effective Local and Regional Partnerships for Lifelong Learning (Working Paper), NAGCEL, 1998.
・Sandra Kerka, Developing Collaborative Partnerships: Practice Application Brief no. N/A, 1997.
・今西幸蔵「新たな公共を形成する『協働』概念に関する考察」日本生涯教育学会年報24号、2003.
 
 
 
 
 



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