登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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メンタリング運動の歴史的起源は19世紀末のフレンドリー・ビジター、ならびに20世紀初頭の米国で開始されたBBBS運動(Big Brothers Big Sisters Movement,日本ではBBSと表記される)が行ってきた一対一による支援保護活動にある。BBBS運動は、シンシナティーの実業家ウェストハイーマー(Irvin F. Westheimer)の発意の後を受け、1904年にニューヨーク市少年裁判所書記官のクールター(Ernest K. Coulter)の提唱によって開始された。1908年にはニューヨークでBig Sister 運動が組織され、1977年に両者はBBBSA(Big Brothers / Big Sisters of America)として統合された。BBBS運動は各国に普及し、日本においても「大正」期にその活動が紹介され、運動そのものは1947年に京都少年保護学生連盟によって開始された。1998年にはBBBSI(Big Brothers Big Sisters International)が国際的要請に応じるために創設され、現在36カ国で実施されているBBBSによるメンタリング・プログラムの連携協力を推進している 世界に先駆けメンタリング運動を主導してきた米国においては、1980年代のボランティア活動全般の興隆を背景に、BBBS運動を機軸にしたメンタリング・プログラムは学校・地域・企業の連携とした社会運動として急速に発展した。この時期には各種のNPOが、薬物中毒、未成年者の妊娠、学力不振や退学等の青少年問題に対応する多種のメンタリング・プログラムを提供するようになった。草の根運動から生まれたメンタリング・プログラムは1980年代末に急速に拡大し、拡大第一期(1988年〜1996年)と同第二期(1997年〜)を経た今日、National Mentoring Partnershipが2002年に発表した調査結果によれば,米国だけで4000以上のメンタリング・プログラムが存在し、250万人の青少年が一対一のメンタリング・プログラムに参加していることが判明している。 メンタリングは、プログラムからの早期離脱による失望・落胆等の危険性を伴いながらも、多くの成果を挙げていることが知られている。多様な要素が混入するメンタリングの有効性を抽出するのは厳密には困難なことであり、メンタリング・プログラムの評価の多くは自由記述エッセイやごく簡単な参加者への感想を問うものが殆どであったが、1995年に発表されたBBBSのインパクト研究を嚆矢とするメンタリングの成果の実証研究が行われている。メンタリング・プログラムに参加するメンター、メンティ双方共に相手によい印象を持ち、よい関係を築いていることが報告され、双方ともにメンタリング・プログラムに参加してよかったと回答している。がその一方で、早期のプログラムからの離脱はメンティを傷つけること、ならびに近年なされたメンタリング・プログラムの成果に関するメタ分析はメンタリングがこれまで言われてきたほどは成果をあげてはいないことを示している。これらの成果はさらなるメンタリング・プログラムの工夫に生かされ、いかにプログラムからの離脱を防止するか、最良の成果を挙げる必要条件に関する研究が進められている。 br> |
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参考文献 ・渡辺かよ子「米国におけるメンタリング運動の展開」『言語文化』(愛知淑徳大学言語コミュニケーション学会紀要)第11号、2003年 ・渡辺かよ子「メンタリング・プログラムと企業」『言語文化』(愛知淑徳大学言語コミュニケーション学会紀要)第12号、2004年 |
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