生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2018(平成30)年2月21日
 
 

シニア世代と大学生がともに学ぶ大学授業 (しにあせだいとだいがくせいがともにまなぶだいがくじゅぎょう)

キーワード : シニア世代、大学授業、シルバーカレッジ、アクティブラーニング、融合スタイル
白石義孝(しらいしよしたか)
2.シルバーカレッジのプログラム
 
 
 
 
   シルバーカレッジのプログラムは2年制で、大学の学生(人間社会学部福祉心理学科)との合同授業の受講と専門のゼミナールから成り立っていた。合同授業のうち一般学生とともに学ぶ「融合スタイル」を目指したものは1年次前期の「人間と社会」と1年次後期の「地域と生活」および2年次前期の「宇部学(郷土学)」の3科目である。「融合スタイル」の特徴としては、座学を導入部分の基本講義のみにとどめ、授業の大半をゼミナールやグループワークを取り入れた「アクティブラーニング」で実施したことにある。
 これらのうち、1年次に実施した「人間と社会」と「地域と生活」は福祉心理学科の教員5名が分担するオムニバス形式の講義と選択式のゼミナールが一体化した授業で、授業は、全15回のうち初回がオリエンテーション、2回目から6回目までは各教員が担当する基本講義を行う。7回目は基本講義の総括と各教員によるゼミナールの紹介を行い、受講者が5つのゼミのなかから2つを選択する。8回目から10回目までが最初に選んだテーマのゼミに分かれて受講し、11回目が全体で最初のゼミの総括、12回目から14回目までが2番目に選んだテーマのゼミに分かれて受講し、15回目が全体で2回目のゼミの総括を行うと構成になっていた。
 また、2年次前期の「宇部学」では一般学生と一緒に宇部市の文化や歴史などの様々な点について学ぶだけでなく、ワークショップ形式で地域活性化などの課題についてグループ発表を行った。担当講師として、本学教員のほか、郷土史家やふるさと観光ボランティアの方、および年度によっては宇部市長にもお話しいただいた。さらに第1期修了生のなかから郷土史研究会で活動しておられる方にも1回ほど講師として登壇をお願いした。
 2年間のプログラムの最後となる2年次の後期には、シルバーカレッジ受講生のみを対象とするゼミナールが開講され、全員が興味を持ったテーマについて研究発表を行って、最終的に修了レポートを提出することができれば、2年間の課程の修了証が交付された。ちなみに、修了証の授与者の名義は、「宇部ふるさと学園」長である宇部市長と、本学の学長の連名であった。
 受講者の状況をみると、初年度は大学の授業を一般学生と一緒に学べるというコンセプトが好評で、50名を超える入学者があったが、その後は漸減し、第4期生になると20名を下回るようになった。また、宇部市が新たに「宇部志立市民大学」の取り組みを始めることが決まったため、平成23(2011)年3月の第4期生の修了式をもって、シルバーカレッジは閉講することとなった。
 
 
 
  参考文献
・白石義孝「学生教育と社会人教育の融合をめざす大学開放」上杉孝實・香川正弘・河村能夫編著『大学はコミュニティの知の拠点となれるか』ミネルヴァ書房、2016年
 
 
 
 
 



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