生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2018(平成30)年2月21日
 
 

シニア世代と大学生がともに学ぶ大学授業 (しにあせだいとだいがくせいがともにまなぶだいがくじゅぎょう)

キーワード : シニア世代、大学授業、シルバーカレッジ、アクティブラーニング、融合スタイル
白石義孝(しらいしよしたか)
3.シルバーカレッジの成果と課題
  
 
 
 
  【成果】
 シルバーカレッジ事業の5年間の取り組みのなかで、大学における社会人学生の受け入れ体制の構築に向けて様々な試みを行った。
 シニア学生からの反応としては、「久しぶりに学生気分を味わうことができた」「グループワークで若い学生さんが真面目に取り組む姿に感化された」などの好意的なものが多く、「学生食堂のメニューに揚げ物が多いので健康的なメニューがあってもよい」とか「大学祭で自分たちがやっている写真サークルの作品展を行いたい」などといった、大学生活に積極的に関わりたいというニーズが強く感じされた。
 一般学生からは、「最初は戸惑ったが、一緒にワークに取り組むうちに人生の先輩として色々教えられることが多く有意義だった」「福祉の専門職を目指しているため、高齢者と自然に関わる機会が持ててよかった」といった感想のほか、「言葉遣いなどで注意されることがあって、多少むかつくこともあったが、今では社会人になるためのアドバイスをいただいたと思い感謝している」などといったものもあった。
【課題】
 宇部市からのシルバーカレッジの委託事業が5年で中止となった最大の理由は、受講者の減少である。
 なかでも、授業の開講時間帯と大学までの交通アクセスの問題が大きかったと思われる。
 授業の開講時間帯は、一般の学生を対象に組まれていたため、月曜日や木曜日の2時間目(10:40〜12:10)や3時間目(13:00〜14:30)が多く、15週間続けて平日の昼間の同じ時間帯に出席することは、自治会や老人クラブなどの様々な地域活動に関わっているアクティブシニアにとっては厳しかったようである。(特に第3木曜日はいろいろな会合のため、授業を欠席される方が多かった)
 交通アクセスについては、大学の立地が1960年代に開発された丘の上の住宅地の中にあり、最寄りのJRの駅や幹線道路のバス停から離れて(上り坂を徒歩15〜20分)いるため、自家用車(一部自転車や原付バイク)の利用がほとんどだった。
 昨今の高齢者(が加害者となる)交通事故問題や、宇部市も取り組んでいる公共交通を利用した低炭素のまちづくりの動向を鑑みると、平成30(2018)年現在、JRの拠点駅から大学に乗り入れている唯一の公共共通である「宇部市営バス」との連携・協力により、朝夕のみならず「日中の大学の授業時間」に合わせた通学ダイヤの設定が不可欠であるといえよう。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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