登録/更新年月日:2018(平成30)年3月12日 |
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近年、日本の大学においても「開放」機能を重視すべきとの考えが広がっている。たとえば、平成17(2005)年の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」は、「各大学が教育・研究等のどのような使命・役割に重点を置く場合であっても、教育・研究機能の拡張(extension)としての大学開放の一層の推進等の生涯学習機能や地域社会・経済社会との連携も常に視野に入れていくことが重要」との認識を示している。 人々の生涯学習の意識が高まる中、政府は様々な条件整備を行い、各大学に生涯学習への対応を促してきた。大学による生涯学習対応の取組としては、生涯学習機会の提供、正課教育の開放、地域社会・産業界との連携などがある。 【生涯学習機会の提供】 ほとんどの大学は、地域の学習ニーズに応えるため、正規課程以外の学習機会を用意し、地域住民に提供する取組を行っている。代表的な事業として、大学公開講座をあげることができる。公開講座とは、大学における教育・研究の成果を直接社会に開放し、地域住民などに高度な学習機会を提供する活動とされ、開講される講座数や受講者数は年々増加している(平成19年度には、国公私立を合わせて約3万講座が開設され、約128万人が受講している)。 大学開放のための専門機関の設置も進み、20を超える国立大学において生涯学習系センターが活動している。また私立大学においても、エクステンションセンター等の組織を設立・運営する例も多く、一部には毎年数百にも上る公開講座を開設し、1万人を超える受講生を集める大規模な例も見られる。 【正課教育の開放】 多くの大学では、社会人のリカレント教育へのニーズに応えるため、入学条件や入学後の学習条件の弾力化・柔軟化など、正課教育の開放が進められている。ここには、社会人特別選抜、夜間部・昼夜開講制、修業年限の弾力化、科目等履修生、通信教育・放送大学、サテライトキャンパスなど、社会人の学修を支援するための制度・方策の導入などが含まれる。 近年においても、長期履修学生制度(1998年)や通信制大学院制度(2002年)など、学修における時間的・空間的制約を緩和・解消し、社会人学生のリカレント教育を促すための制度改革が進められている。大学の正規課程への社会人の受け入れが一層進むことが期待されている。 【地域社会・産業界との連携】 大学が進める生涯学習対応の三番目の領域は、地域社会・産業界との連携である。「象牙の塔」として地域から孤立した大学のあり方を見直し、行政機関や教育機関、各種団体・NPO、企業・事業所など、社会に積極的に知的資源を還元するとともに、同時に支援も受ける緊密かつ双方向の連携(産学官連携)が模索されている。 具体的には、ボランティアやリーダー研修など地域活性化のための人材養成、地域課題の解決に資する共同研究を通したまちづくりへの貢献、産業創出に向けた研究開発、技術者・職業人対象の再教育プログラムの実施、学生のインターンシップ(就業体験)の推進、産学官連携による教育プログラムや研究プロジェクトの開発・実施などが進められている。 br> |
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参考文献 ・中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像(答申)」2005。 ・文部科学省編『平成20年度文部科学白書』国立印刷局、2008。 |
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