生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年3月14日
 
 

生活様式枠組と生涯学習研究 (せいかつようしきわくぐみとしょうがいがくしゅうけんきゅう)

framework for the way of life and study on lifelong learning
キーワード : 生活様式、行動様式、生活領域、技術操作法、文化変容
白木賢信(しらきたかのぶ)
2.生活様式枠組の中の技術と技術操作法
 
 
 
 
  【定義】
 技術にもさまざまな捉え方があるが、生活様式枠組の中の技術は、生活にかかわる目的を達成するための計画的な手続きである。技術操作法とは、その技術を使う際に失敗しないようにするための補助的手続きである。
【説明】
 前小項目で挙げた生活領域は、生活を存続させるために必要な機能的条件で捉えたものである。そこで、生活様式をこの機能遂行のための技術として捉えていく方が、生涯学習の分析(詳しくは次の小項目を参照)を行う上では有効であろう。
 技術の捉え方については、いわゆる生産技術と呼ばれるような、人間が自然に働きかけて事物を生産するやり方、あるいは目的を実現する手続きという極めて限定された捉え方もあれば、単なる生産技術だけでなく、芸術、医術、料理術、弁論術、戦術なども含む広い捉え方もある。最広義に捉えれば、技術とは一定の目的に達する方法で、この目的に達するための行動の仕方である。行動の仕方とは計画的な手続きである。前小項目で挙げたフランス地理学派にあっては、技術をあらゆる活動領域における人間の巧みさと技能であるという拡大した概念とし、その例として、社会生活の技術、エネルギーの技術、空間の征服の諸技術、原料の生産・加工の技術などが挙げられている(ソール M.Sorre (1952))。このように技術を広い意味で捉え、知的・社会的な生活環境にかかわるものとすれば、生活のさまざまな領域での表出が可能となる。
 このように技術を行動の仕方、計画的な手続きと捉えれば、技術操作法はその補助的な手続きである。これは、技術を使うときに少なくとも失敗しないようにするために使われるもので、技術が身についているかどうかにかかわる要素の1つではないかと考えられている。これまでのところ、技術操作法は、安全操作法、効率操作法、問題解決的操作法があると考えられている。安全操作法は技術を安全に使うための技術操作法、効率操作法は技術を効率的に使うための技術操作法、問題解決的操作法は技術の使用上で生じた問題を解決するための創意工夫(コツ)にかかわる技術操作法である。そしてさらにそれぞれ道具を使用するかどうかで分けると、技術操作法は6種類に分かれる。
 なお、技術で使われる道具についてはさまざまな考え方があり、人間の身体の機能や形状をそのまま映し出す人工物とする考え方、人間の身体器官の欠けている部分の代わりを為したり身体器官の負担の減少させようとする考え方、目的をより容易に達成しようとする考え方などがある。
 
 
 
  参考文献
・馬場敬治『技術と社会(第1巻)』酒井書店・育英堂、昭和45年(初版昭和11年)
・山本恒夫「社会教育活動分析の枠組」『国立社会教育研修所紀要』第1集、pp.33-50、昭和42年
・下中弘編『哲学事典』平凡社、昭和46年、p.301(「技術」)
・林武『技術と社会』東京大学出版会、昭和61年
・野澤秀樹「生活様式論をめぐる諸問題」『史淵』125、pp.179-206、昭和63年
・直江清隆「行為の形としての技術」『思想』926、pp.82-107、平成13年、他
 
 
 
 
 



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