登録/更新年月日:2008(平成20)年12月30日 |
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公立図書館でボランティアを受け入れている理由としては、施設の活性化がなされることや、運営や事業の実施に工夫がもたらされること、地域との結びつきが強まること、親しみが持たれることなどの施設側のメリットが挙げられる。施設の人的体制の不備を補完するためにボランティアを受け入れているという面も少なからず存在するようである。一方、生涯学習支援の一環として、もしくは学習の成果を活用する場としてボランティア活動の機会を提供するという考え方も根強くある。これらの理由が複層的に重なり合ってボランティアの受け入れが進められているのである。ボランティアを受け入れていない施設では、受け入れ体制が整っていないことや、受け入れても十分にボランティアに対応できないことなどが理由とされる。 ボランティアを受け入れるきっかけとしては、一般からの公募、もしくはボランティアからの申し出が挙げられることが多い。また、地域の読み聞かせのサークルや友の会などの団体が母体となって活動が始められる場合もある。 ボランティアの活動内容は、 a)児童サービス b)障がい者サービス c)館内サービス の3つに分けられる。a)児童サービスとは、乳幼児や児童を対象とした、読み聞かせや、お話会、紙芝居、人形劇、ブックスタートなどの活動のことを指し、多くの公立図書館でボランティアが児童サービスに携わっている。b)の障がい者サービスとは、録音テープや点字図書の作成など視覚障がい者向けの読書支援のサービスのことを指し、3分の1程度の公立図書館でボランティアがサービスに携わっている。c)の館内サービスとは、書架整理や配架、貸出や返却、装丁などの館内業務やカウンター業務のことを指し、近年このサービスにボランティアが関わる例も増えてきている。この3つのサービスの他に、行政資料や地域資料の整理や、行事やイベントの補助などの活動も行われている。このようにボランティアが施設の多くの業務に携わることによって、職員の業務とボランティアの活動の線引きが問題となったり、職員の専門性が問い直されたりすることともなっている。 活動者の属性に注目するとその多くは主婦であり、これに伴って活動者の中心的な年齢層も30代から50代となっている。60代・70代の高齢者も積極的に活動している一方で、学生や若者の受け入れは進んでいないことも特徴の1つである。 これらは公立図書館におけるボランティア活動の一般的な特徴であるが、この他にも各施設のボランティア活動を特徴づける様々な要因が存在している。例として、設置主体によって図書館に求められる役割が異なることが挙げられる。市町村立図書館には地域に密着したサービスが求められるのに対し、都道府県立図書館は市町村立図書館をバックアップする役割を担っており、双方の図書館で必要とされるボランティア活動の性質も異なってくる。さらに施設内での職員とボランティアとの関係も重要である。ボランティアが施設側から自律した活動を行っているのか、それとも業務の補完としての活動を行っているかはこの関係によるところが大きい。さらにボランティア活動に対して充実した支援が行われているかどうかも活動の質を左右する重要な要因である。 br> |
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参考文献 ・社会教育施設ボランティア研究会編『社会教育施設におけるボランティア活動の現状−調査報告1998−』1998年 ・社会教育計画研究会編『社会教育施設におけるボランティア活動の現状−調査報告2006−』2008年 ・図書館ボランティア研究会編『図書館ボランティア』丸善株式会社、2000年 ・全国公共図書館協議会編『2000年度 公立図書館におけるボランティアの活動に関する報告書』2001年 |
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