登録/更新年月日:2016(平成28)年1月1日 |
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地域で子育てを支援していくには人材が必要である。地域は豊かな人生経験や職業経験、知識や技術を持った人材の宝庫である。潜在的な人材を生かすことは、地域社会の活力を生み出すと同時に個人のやりがいや生きがいにもつながる。また、さまざまな人が「子育て支援」という目標を共有し、活動をともにする中で絆が深まる。地域のつながりが薄れ地域の教育力が低下したと言われるが、子どもを核として地域の新たなネットワークを築き、教育力を回復することも考えられる。 子育て支援の人材は、PTAや子ども会等の活動経験や人のつながりから支援者になる場合、支援の受け手や学習者が子どもの成長とともに仲間になって自ら支援グループを引き継いだり立ち上げる場合もある。教育行政や福祉行政では、ボランティア養成講座、子育てサポーター養成講座などの研修を通して、人材の育成に努めている。 【子育てサポーター・リーダーの養成】 家庭教育や子育て支援のための取り組みに携わる人材として、子育てやしつけについて友人や先輩のような関係で気軽に相談にのったりアドバイスを行う子育てサポーターを発掘・登録、養成したり、サポーターや子育て経験者を対象に、地域における支援活動全般の企画・運営や、子育てサポーターの資質向上を担うリーダーを養成している。 【家庭教育支援チームを中心とした体制づくり・ネットワークづくり】 子育てサポーターやリーダーを中心に、地域によって構成は異なるが、民生委員、児童委員、保健師、臨床心理士、助産師などさまざまな人材が関わって、小学校区などの身近な地域で学校・公民館などを拠点に、情報提供、相談対応、交流・学習機会のコーディネート等を行う家庭教育支援チームの体制づくりが進められている。チームでは、たとえば家庭訪問などの個別対応を福祉部門が担当し、親のニーズに応じて教育行政の事業を紹介してつなぐ等の連携によって、よりきめ細やかな支援も可能となる。 【学習を活動につなぐ】 ボランティア養成講座の修了生がボランティア活動に移行できずに、養成講座のリピーターになることも少なくない。活動の意志はあっても、すぐに活動に結び付くとは限らない。支援する気持ちはあるが、どこで何ができるのか分からない、という人もいる。また、頭では理解したが実行には移せないという人もいる。従って、支援活動の情報提供や実践を含んだ研修も必要である。たとえば、講座の中で地域の子育て支援グループを招いて内容紹介と勧誘の場を設けたり、座学だけでなく教育実習として実際に興味のある現場で活動してみる実践研修を企画するなど、学習から活動へ移行するための工夫が大切である。 【子育て支援を核とした地域づくり】 子育て支援は、生活のあらゆる分野にまたがる複合的な課題であるため、実際の支援活動は子育て支援のみにとどまらず、世代間交流、過疎対策、環境問題、高齢者問題、学校・公民館等施設活用など多岐にわたる地域課題に関わることになる。課題に取り組む核集団ができると、その周辺に協力者が集まってくる。子どもの健やかな成長は、地域の多くの人の願いであろう。関係者が手をつなぐことによって、地域の新たなネットワークが形成され、地域づくりにつながることが期待される。 br> |
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参考文献 ・大島まな「子育て支援を核とした人材育成と地域づくり−『養育の社会化』時代の『地域の教育力』を問う−」日本生涯教育学会年報第35号、2014年 ・三浦清一郎編著『未来の必要―生涯教育立国の条件』学文社、2011年 |
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