生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2016(平成28)年12月26日
 
 

公民館における今日的課題と解決の方向性 (こうみんかんにおけるこんにちてきかだいとかいけつのほうこうせい)

solution forward current problems in the public hall(KOUMINKAN)
キーワード : 政策課題、行政の生涯学習化、生涯学習ゾーン、公学連携・融合、広大一貫学習
清水英男(しみずひでお)
1.公民館の存在価値を高める工夫
  
 
 
 
  【字義】
 対象とした公民館は、市町村が設置した中核的機能を有する公民館とした。その機能とは、学習機会や集会の場の提供、指導者養成などの広域的事業の実施、対象区域を網羅する各種の学校や教育産業などの情報の収集・整理・提供や学習相談、生涯学習関連施設等との連携とネットワークの主体などである。
【説明】
●公民館のイメージアップ作戦「なくてはならないKOUMINKAN」の展開
 世界から注目されている公民館が住民の学習と集いの場としてより親しまれ存在感を高めるためには、公民館自らがイメージアップを図ることが課題となっている。
 解決の方向性としては、「住民になくてはならない公民館」となるような「イメージアップ作戦」を展開することなどである。そのためには、「公民館はだれのためにあり、何を目標とし、どのような事業を企画し運営・評価すべきか」という原点に立ち返って、住民と公民館が協働して、住民主体の経営目標を確認・設定し存在感を高める事業を実施するなど質的な向上を図る必要がある。そして、これらイメージアップした情報が各世代に広く周知され利用されることなどである。また、公民館の特色や地域性を生かした呼称やシンボルなどを公募し活用することも大切である。
●臨場感にあふれる双方向型の学習情報提供・相談事業の充実
 住民が自ら必要とする公民館活動に参画できるためには、学習情報提供や相談活動を充実させることが課題となっている。
 解決の方向性としては、事業等への参画者の口コミが効果的なので、より事業の質を高める必要がある。また、公民館広報活動のボランティアを育成する事業を実施する。そして、このボランティアと協働し各種事業を住民感覚で紹介し、利用者が疑似体験できるような内容・方法などを伝える広報活動を展開する。さらに、広報内容に応じて各種のメディアやICTを活用した双方向の学習情報の提供や相談事業を拡充することが肝要である。
●行政の生涯学習化支援とネットワーク形成へのリーダーシップの発揮
 地方公共団体の政策課題の解決を担う事業を充実することや長年蓄積してきた「行政の生涯学習化」に役立つノウハウを関係行政や教育産業などに提供することが課題となっている。ここでの「行政の生涯学習化」とは、各行政が住民と協働して任務を適切に遂行するために必要な啓発・学習や団体支援と指導者養成、情報の提供や相談など生涯学習にかかわる取り組みとした。
 解決の方向性としては、公民館がリーダーシップを発揮し、関係する首長部局や学校、カルチャーセンターなどとの緩やかなネットワークを形成し、これら主体と協働して政策課題解決にかかわる総合的な事業を展開することなどである。また、「行政の生涯学習化」に資する蓄積したノウハウを整理した資料や研修の機会を提供する必要がある。
●講座等に参画できにくい住民への支援活動の充実
 様々な事情で、公民館が開設する講座等で学習したくても参画できにくい住民への適切な対応が課題となっている。
解決の方向性としては、出前講座をはじめ、各種メディアや公民館ボランティアを活用し、家庭や病室、職場など居住場所に直接届ける講座等を充実する必要がある。また、受講対象者の要望や実情を踏まえ、平日や夜間、土・日や祝日、託児つきの開講、社会通信教育や社会教育関係団体などが行う講座等への支援事業を充実することなどである。
 
 
 
  参考文献
・清水英男『公民館の今日的課題と解決の方向性』聖徳大学研究紀要8』平成22(2010)年
・中央教育審議会答申『新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築を目指して〜』平成20(2008)年
 
 
 
 
  



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