生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月7日
 
 

大学と学社融合 (だいがくとがくしゃゆうごう)

university and school-community fusion
キーワード : 関係づくり、学びの共有化、大学の第三の機能、人材育成と実践、資源的価値
濱野和人(はまのかずひと)
1.大学の機能
  
 
 
 
  【大学の定義】
 研究(research)、教育(education)、地域還元(regional reduction)の三つの機能を有し、これらの機能を有機的に作用させることにより個人の自立と社会の発展を目的とした学術機関。
【説明・動向】
 生涯学習社会化の潮流は、大学に期待する機能にも大きく影響を与えるようになった。これは平成10(1998)年の大学審議会答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について―競争的環境の中で個性が輝く大学―」の中で、USR(大学の社会的責任:University Social Responsibility)に対する配慮行動を取る必要性が示唆されたことによるものである。これを機に、従来、中核的な学術機関として「研究」と「教育」の二つの機能を備えてきた大学も、生涯学習社会化に目を向けるようになり、「開かれた大学」に代表されるような社会貢献活動・大学開放事業といわれる「地域還元」を大学の第三の機能として位置付けるようになった。
 公開講座の開講等により、地域社会が昔に比べ大学に足を運ぶ機会は多くなり生涯学習プログラムの受講人数も年々増加傾向にあるが、従来の「開かれた大学」はプログラムの対象を社会人に限定し、設置場所も施設のある学内で実施してきた。生涯学習の理念の重視するところは、ライフサイクルの前半に学校偏重型の教育が集中していたのを見直し、個人の生涯全体を通じた主体的学習の支援に力点を置く教育システムの追究である。大学は、個人と社会との有機的融合を担う学術機関であることから、学習者ニーズに対応した「開かれた大学」とならなければならない。
 
 
 
  参考文献
・藤川吉美『大学がかわる日本が変わる―改革進む日本の大学―』公共政策研究所、2003年.
・遠山敦子『こう変わる学校こう変わる大学』講談社、2004年.
・田中美子「「自己実現型」から「社会還元型」学習への自己組織的スパイラル」全日本社会教育連合会『社会教育』、第60巻、2005年.
・濱野和人「学びの共有化とコンヴィヴィアルな関係づくり−学社融合の定義と構造−」学校と地域の融合教育研究会『年報「学社融合」、第3号、2006年.
 
 
 
 
  



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