生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年8月27日
 
 

学校図書館 (がっこうとしょかん)

school library
キーワード : 学校図書館、学校図書館の目的と役割、学習情報センター、司書教諭、学校図書館法
平久江祐司(ひらくえゆうじ)
1.学校図書館の目的と役割
  
 
 
 
  【定義等】
 学校図書館とは,近代学校制度の成立とともに,児童生徒の学習や教員の教授のための必須の設備として学校に設置された図書館であり,資料センター,教材センター,メディアセンターなどの名称でも呼ばれ,図書館資料の収集,整理,保存,提供を通じて学校の教育目標の達成に寄与する図書館である。  
【説明】
 日本の学校図書館は,昭和22(1947)年の学校教育法施行規則(第1条),及び昭和28(1953)年の学校図書館法(第3条)の規定に基づき,全ての初等・中等教育諸学校に必須の施設・設備として設置されるようになった。学校図書館は,学校の教育課程の展開に寄与し,児童生徒の健全な教養を育成することを目的として,小学校(特別支援学校の小学部を含む),中学校(中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の中学部を含む),高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む)に設置される。
 第二次大戦以前の学校制度における学校図書館とこれらの学校図書館が区別されるのは,これらが図書館資料を収集・整理・提供することに留まらず,学校の教育活動を支援し,その教育目的を達成することを目的とする点にある。こうした学校教育との係りの中で存立する学校図書館を近代的な意味での学校図書館と呼ぶことができる。全国学校図書館協議会が平成3(1991)年に採択した学校図書館憲章の中では,学校図書館の教育的役割について「生涯にわたる自己教育の方法を会得させ,自学能力を高める教育を推進する」と述べられている。こうした今日の学校図書館は,児童生徒や教師の必要に応じて資料や情報を提供する奉仕機関と,児童生徒の問題解決のための図書館の活用法や読書活動を推進する指導機関という2つの機能を担っている。
 学校図書館の役割については,学校図書館法第4条に次の点があげられている。
(1)図書館資料を収集し,児童又は生徒及び教員の利用に供すること
(2)図書館資料の分類排列を適切にし,及びその目録を整備すること
(3)読書会,研究会,鑑賞会,映写会,資料展示会等を行うこと
(4)図書館資料の利用その他学校図書館の利用に関し,児童又は生徒に対し指導を行うこと
(5)他の学校の学校図書館,図書館,博物館,公民館等と緊密に連絡し,及び協力すること
 これらの役割の中でも,特に児童生徒に対し図書館資料の利用その他学校図書館の利用に関する指導を行うという規定は,学校図書館が利用指導や読書指導などの教育的役割を果たすうえで重要である。
 また,学校図書館は学校の中の図書館であることから,その役割については学習指導要領にも規定されている。平成20(2008)年に改訂された小・中学校の学習指導要領の総則には,「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童(生徒)の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実する」とその教育的役割が記述されている。こうした役割を実現するためには,学校図書館を学習・情報センター,読書センターとして機能させていくことや学校図書館と公共図書館等を情報・資料配送(相互貸借)・人的ネットワークによって結ぶ学校図書館ネットワークを構築していくことなどが課題となっている。
 
 
 
  参考文献
・日本図書館情報学会研究委員会編『学校図書館メディアセンター論の構築に向けて:学校図書館の理論と実践』勉誠出版,2005,233p.
・柿沼隆志『学校図書館の運営』日本図書館協会,2004,330p.
 
 
 
 
  



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