登録/更新年月日:2012(平成24)年3月5日 |
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【説明】 他者との関係性をもつこと、つまり、人とのつながりをもつことである。その関係性は、持続させ発展させたりすることで、人的ネットワークを形成することにも繋がる。「人」は、社会活動の最も基礎となる構成要素であり、ライフコースのどの時期においても、その関係性を持つことは避けては通れない。そのことがストレスの原因となる場合も多いが、そのネガティブな状況を救い支えるのも、また人との交流によるのである。 人生において、他者との出会いや別れ、その関係性の充実や失敗等の様々な体験を経ることで、自己が確立されていく。それ故、他者との相互理解を持ち周囲との持続的な支援関係を築くことは、メンタルヘルスの充実を生涯維持し続ける上で重要なことである。生涯学習活動においても、人との関わりから得られる心身への効果は、健全な活力ある社会生活を実現するための重要なファクターとして捉えることが必要である。 【動向と課題】 近年、育児不安や乳幼児虐待、不登校や引きこもり、働く世代のうつや自殺、高齢者介護虐待や孤独死等の社会問題が増加し深刻化している。これらには、そこへ至る過程で心身の不適応が生じ、外部との適切なコンタクトが得られない状態で日常生活を過ごしていたという共通点が見られる。それ故、このような心身の不適応を如何にして外部から早期発見し予防に取り組むかが、地域社会としての緊急の課題となっている。 平成20年厚生労働省報告によれば、常用労働者10人以上を雇用する民営事業所約14,000事業所を対象に「平成19年労働者健康状況調査」を行った結果、「自分の仕事や職業生活に関する強い悩み、不安、ストレスがある」とした労働者は、全体の58%であった。その内訳は、「職場の人間関係(37.7%)」が最も多く、「人との関わり」は強いストレッサーであり、その改善策やストレス解消を望む姿が窺える。しかし、その一方で、メンタルヘルスケアに取り組んでいない事業所は全体の約66.4%であり、その主な理由として、「専門のスタッフがいない(44.3%)」、「必要性を感じない(28.9%)」とあり、職業生活を通じてメンタルヘルスケアを適切に受ける機会のない労働者が多いことも顕著となった。このように事業体として今後もメンタルヘルスケアへの取り組みが行われる予定もなく、その必要性への認識も低いことから、労働者が潜在的に有するライフコース上生じた強いストレスや悩みを解決したいというニーズを満たすには、職業生活以外の機会を通じて得るしかないのが現状である。 生涯学習は、地域社会の多様な組織と連携して行われることが多く、それらへアクセス可能な身近な学習機会の窓口として機能している。生涯学習活動の多くは、社会活動を継続させながら学習活動に参加でき、日常生活に無理の無い活動でもある。それ故、学習それ自体の習熟・発展が主たる目的ではあるが、日常から離れられる機会が得られるという側面も持つことから、自己の心身の状態に気づき、自身と向き合うチャンスを提供しやすい活動とも捉えることが可能である。それ故、生涯学習の果たす役割や可能性の一つとして、そこでの活動を通した個々のメンタルヘルスケアへのニーズを拾う身近な地域社会の受け皿としての機能をさらに充実させる必要がある。 br> |
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参考文献 ・平成19年労働者健康状況調査結果の概況、厚生労働省調査報告書、平成20年10月 |
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