生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年12月11日
 
 

高等学校におけるボランティア活動のあり方 (こうとうがっこうにおけるぼらんてぃあかつどうのありかた)

キーワード : 社会教育施設、教育課程、学校行事、振り返り
林幸克(はやしゆきよし)
1.ボランティア活動に関わる政策動向
  
 
 
 
  1)ボランティア活動支援施策
 文部科学省がボランティア活動の推進のために展開している施策の具体的な内容に着目すると、「長期自然体験」「野外活動等の自然体験活動」「体験型環境学習」「文化体験」「社会奉仕体験活動や自然体験活動」「自然体験や生活体験」「奉仕活動」「スポーツや文化活動」「ボランティア活動」「社会体験活動」「文化ボランティア活動」「体験・交流活動」「自然体験や社会体験」「文化芸術活動」「文化活動」「伝統文化に関する活動」などを列挙することができる。これらをさらに分類すると、「奉仕活動・ボランティア活動の推進」「自然体験活動の推進」「環境学習の推進」「青少年の自立支援」「体験活動への助成」「文化体験の推進」となる。
 「奉仕活動・ボランティア活動の推進」に関してみると、事業の名称は変わりながらボランティア活動を中心とした子どもの体験活動の推進を進めている。「自然体験活動の推進」では、「豊かな体験活動推進事業」として一貫して自然体験を中心とした体験活動の推進を図っている。「環境学習の推進」では、関係省庁と連携しながら体験型の環境学習を展開している。「文化体験の推進」では、事業名の変更はあるものの子どもの文化体験プログラムの推進を進めている。この文化体験に関しては、近年になり事業数が増加していることを勘案すると、その位置づけを重視する傾向にある。これらはすべて、子ども自身の体験活動を促進するとともにそれを支援する環境・体制整備も含めて捉えている。
2)ボランティア活動実践環境
 ボランティア活動実践のための環境整備がどのような状況になっているのかを、社会教育調査におけるボランティア登録制度を手がかりに考えてみる。主な社会教育施設として、公民館、図書館、博物館、青少年教育施設に着目する。ボランティア登録制度のある割合は、公民館(平成11(1999)年度8.9%、平成14(2002)年度14.0%、平成17(2005)年度15.7%、平成16(2008)年度16.7%)、図書館(同29.9%、52.9%、60.7%、66.7%)、博物館(同18.5%、27.9%、34.8%、37.0%)、青少年教育施設(同17.1%、19.4%、19.8%、29.6%)となっており、4施設ともボランティア登録制度のある施設の割合が増加傾向にある。社会教育施設における活動の場が確保されていると捉えることができ、ボランティア活動のための環境整備が着々と整備されつつあるといえる。
 ボランティア活動以外の体験活動として、中学生・高校生の自然体験の体験状況にも着目したい。国立青少年教育振興機構、国立オリンピック記念青少年総合センターが実施した調査結果を整理すると、「自然の中で体を動かしたり楽しんだりする活動」「自然を観察したり調べたりする活動」「自然のものを採って食べたり加工したりする活動」など、レクリエーション的要素の強い活動や食に関する活動を中心に体験した割合が微増傾向にある。
 こうした現況を概観すると、文部科学省は、「学びのすすめ」(平成14(2002)年)以来、学力を重視する姿勢を示したが、その一方でボランティア活動などの体験活動の充実・振興にも力を入れ、ある程度の成果を収めてきたとみることができる。
 
 
 
  参考文献
・文部科学省『社会教育調査』平成11年度〜平成20年度
・内閣府『青少年白書』平成15年版〜平成21年版
 
 
 
 
  



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