登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【説明】 現在行われている子育て支援事業には学習にかかわるものも含まれている。これも(1)親(保護者)の子育てに直接かかわるものと、(2)間接的にかかわるものがある。 (1)親(保護者)の子育てに直接かかわるものとしては、子どもを育てる親のための家庭教育に関する講座、家庭でのしつけのあり方や子どもの心の成長に関して配慮すべき点を盛り込んだ家庭教育のための資料の作成・配布などの事業がある。 (2)親(保護者)の子育てに間接的にかかわるものには、さらにa.子育て中の親(保護者)の学習への支援とb.現在子育て中ではない人々の子育てにかかわる学習への支援がある。a.子育て中の親(保護者)の学習への支援には、子ども連れで博物館や美術館に出かけられるような託児サービス付きの企画展、子ども同伴でも参加できる講演会、ファミリー・サポート・センター(子育ての援助を行いたい者と援助を受けたい(子どもをあずけたい)者からなる会員組織)における一時保育などがある。また、b. 現在子育て中ではない人々の子育てにかかわる学習への支援としては、学校において家庭科の時間等を活用して行われる乳幼児とのふれあい体験、子どもの祖父母に対する孫育て講座、子育て支援に携わるボランティアを養成するための講座などの事業がある。 【課題】 1)実践面の課題 現在、各地で展開されている子育て支援事業の利用にあたっては以下のような問題が生じていることが知られている。 ・ニーズに即した事業が行われていない。 ・ニーズに即した事業が行われているが、その事業が行われていることを知らない。 ・ニーズに即した事業が行われており、その事業が行われていることを知っているが、利用要件に適合しないため利用できない。 ・ニーズに即した事業が行われており、その事業が行われていることを知っているが、利用しにくい。 同様の問題は学習にかかわる子育て支援事業においても生じている。 このような問題が生じる背景には、子育て中の親のニーズが把握されていないことやニーズが把握されていてもそれが事業に反映されていないこと、広報の仕方が工夫されていないこと、利用のしやすさという観点から十分な検討がなされないうちに急速に事業が拡大されてきたことなどが挙げられるだろう。実践面における課題はこのような問題の解決にあると思われる。 2)研究面の課題 子育て支援に関する研究としては、実践事例の報告をはじめ、子育て中の親のニーズを実態調査を通じて探索的に明らかにするような研究、子育て中の母親を中心とした人的環境とその母親の心身の健康状態の関係を実証的に検討するような研究などが行われている。とくに子育て中の母親を取り巻く人的環境(具体的には子育て中の母親を支える人々の規模や多様性など)については、その状態が子育て中の母親の抱えるさまざまな負担感の軽減に影響を及ぼすと考えられており、心理学や社会学の領域で研究成果が蓄積されつつある。 一方、子育て支援の定義や理念について理論的な検討を行うような研究は散見される程度で、その検討も十分とは言い難い状況にあるとされている。しかしながら、上述のような実践面での課題の解決や今後の子育て支援のあり方を考える上ではこのような研究を欠かすことはできないと思われる。 br> |
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参考文献 ・山根真理「育児不安と家族の危機」(清水新二編『家族問題:危機と存続』ミネルヴァ書房、平成12(2000)年、pp.21-40) ・『「子育て中の女性の意識と学習支援のあり方に関する調査」報告書』東京都教育庁生涯学習振興計画課、平成13(2001)年 ・太田光洋「「子育て支援」と支援システムの構築」旭川大学地域研究所年報第25号、平成14(2002)年、pp.103-111 ・田井優子「乳幼児を育てる母親の学習行動に周囲の協力関係が及ぼす影響」日本生涯教育学会論集25 平成16(2004)年、pp.29-38 |
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