生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2014(平成26)年1月11日
 
 

教育振興基本計画 (きょういくしんこうきほんけいかく)

Basic Plan for the Promotion of Education
キーワード : 教育基本法、生涯学習社会
合田隆史(ごうだたかふみ)
2.第2期計画の特徴
 
 
 
 
  (1) 第1期との継続性の確保
 平成20(2008)年策定の第1期計画が,その策定時から「おおむね10年先を見通した教育のめざすべき姿」を示していることを踏まえ,教育における多様性の尊重,社会全体の「横」の連携・協働,ライフステージに応じた「縦」の継続,国・地方の連携・協働といった第1期の基本的考え方を引き継ぎつつ,その進捗状況を評価し,これに続く期間における考え方を示している。
(2) 我が国を取り巻く環境に関する危機意識
 東日本大震災からの復興を含め我が国を取り巻く状況を分析して「危機的状況」と捉え,これに対して「生涯現役・全員参加」,「積極的社会保障」,「社会全体の生産性の向上」,「社会関係資本の形成」など生涯学習社会の実現による危機回避シナリオを描き,そのために必要なものとして教育行政の基本的方向性を示している。
(3) 学校段階・生涯を貫く視点の設定
 第1期計画では,平成20年度以降10年間を通じて,義務教育修了までにめざすべき姿と義務教育後の人材育成とに整理して目標を掲げ,基本的方向性も,「縦」の継続という観点を踏まえつつも,社会全体での取組み,初等中等教育における方向性,高等教育における方向性,条件整備の在り方という構成をとっている。
 これに対し,第2期計画においては,初等中等教育段階における生きる力の育成,高等教育における課題探求能力の修得,社会的・職業的自立に向けた力の育成,ノン・フォーマルな継続学習やその質保証,学習成果の活用等を含む生涯を通じた学習を,「社会を生き抜く力の養成」という一つの柱の中に位置づけ,また各学校段階を通じて新たな価値を創造する人材,グローバル人材の育成に焦点を当てた柱立てをするなど,学校段階・学校内外を通じて一貫した視点に立った構成となっている。
(4) 施策の体系的整理
 第1期計画では,基本的方向性ごとに施策を整理した後,内容が総花的になることを避ける観点から,「特に重点的に取り組むべき事項」として9項目を掲げている。これに対し,第2期計画では,施策全体の体系性を重視し,4つの基本的方向性とこれらを支える環境整備の5つの柱に沿って,教育施策の全体像を体系的に提示することに主眼を置いている。したがって,特に重点的に取り組むべき事項を掲げることはしていない。
 またそれぞれの方向性ごとに成果目標を立て,その達成状況を判断するための指標を示し,それを達成するための方策を示す,という構成となっている。これは,計画の進捗状況を判断する際の手がかりとなることをも意図したものである。
 そして,これらの全体を通じてめざすべき社会像として,自立・協働・創造をキーワードとする「生涯学習社会の構築」を位置付けている。
 
 
 
  参考文献
・第2期計画:http://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/detail/1336379.htm
・第2期計画に関する中央教育審議会答申:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo9/sonota/1334511.htm
 
 
 
 
 



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