生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年12月4日
 
 

中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会 (ちゅうごく・しこく・きゅうしゅうちくしょうがいがくしゅうじっせんけんきゅうこうりゅうかい)

Kyushu Branch Lifelong Learning Convention
キーワード : 実践と研究の交流システム、実行委員会方式、福岡県立社会教育総合センター、モデル的実践事例、人的情報ネットワーク
大島まな(おおしままな)
1.趣旨と運営システム
  
 
 
 
   毎年5月の第三土曜・日曜に福岡県立社会教育総合センターを会場に開催されている「中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会」(以下、「交流会」と称す)は、昭和57(1982)年に志を同じくする者40名足らずが福岡教育大学の教室に集い、「九州地区」の生涯学習関連事業6事例を発表したところから始まり発展してきた。第25回記念大会を行った平成18(2006)年には400名を超える参加者を集め、それまでの発表事例総数は700に近い。第14回大会(平成7年)から「中国・四国」までエリアを拡大した冠になった。
【趣旨】
 交流会は「実践と研究の交流システム」として、実践(者)と研究(者)の実質的な交流を実現しようとする会である。すなわち実践を理論的に研究し学問的成果を実社会の生活現場の向上に結びつける試みであり、また実践というフィルターを通して理論を問い直す「現場性」を重視する試みである。
【運営システムの特色】
(1)手づくり・手弁当の集まり
 日本生涯教育学会九州支部と中国・四国・九州地区の生涯学習に関係する有志が共同で運営している。入会費・年会費は取らずに基本的には集まった人の参加費で成り立っている。発表者にも司会者にも交通費は出ない。全くの手弁当の会にもかかわらず、遠方からの参加者が年々増え、一度参加した人が繰り返し来ている。
 生涯学習が生活の全領域に関わるものであることから参加者も広範な領域に及び、研究者、行政、学校、企業、民間など多様な参加者間の異業種交流も盛んである。
 大会当日の運営は、センターの施設ボランティアや大学生ボランティアにも支えられている。
(2)実行委員会方式
 当初は当時福岡教育大学の三浦清一郎研究室が事務局として運営を担っていたが、第8回大会(平成元(1989)年)より各県の有志による実行委員会が組織された。実行委員は、それぞれの県における生涯学習の実践を見渡して、生涯学習事例を「発掘」し「推薦」することが大きな役目である。これによって、恒常的に安定して各地の実践事例が集約されるようになった。実行委員は、各県の情報の窓口でもある。
(3)大会期日と会場の固定化:福岡県立社会教育総合センターの役割
 期日は5月の第3土日に固定し、第3回大会(昭和59(1984)年)から福岡県立社会教育総合センター(以下、「センター」と略す)を会場としている。県の行政職員に交流会を支える有志がいたことは大きな力である。大会当日は会場を「貸切」にすることで柔軟な施設利用ができる。大会事務局はセンター内に置かれ(センターは主管)、職員が交流会運営を引き継いでいる。
 県のセンターとしても、九州や西日本各地の生涯学習関連情報が集まることは収穫である。交流会情報・資料の収集・整理と発信(広報)においてもセンターの役割が大きい。
(4)懇親会と特産品せり市
 交流会という名の通り「交流の場」を重視し、懇親会は6時間(二次会を含む)である。発表者に直接質問したり名刺を交換する場面が多く見られる。懇親会では参加者が持ち寄った各地の特産品を紹介しながら「せり」にかけ、その売り上げを大会運営費(プログラム印刷費)に回すという仕組みになっている。
 
 
 
  参考文献
三浦清一郎編集代表・九州地区生涯学習実践研究交流会『生涯学習とコミュニティ戦略』(財)全日本社会教育連合会、1991年
三浦清一郎編集代表・中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会『生涯学習とコミュニティ戦略2』(財)全日本社会教育連合会、1997年
大島まな「理論を生かし実践から学ぶ『生涯学習実践研究交流会』システムの成果−九州支部大会25周年の意味−」日本生涯教育学会年報第27号、2006年
 
 
 
 
  



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