生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月25日
 
 

生涯学習行政における政策評価 (しょうがいがくしゅうぎょうせいにおけるせいさくひょうか)

キーワード : アカウンタビリティ、アウトプット、アウトカム、ベンチマーク、戦略的な評価システム
今野雅裕(こんのまさひろ)
1.政策評価の必要性
  
 
 
 
   現在、どの行政分野においても評価問題が最大の課題になっている。本当に必要な施策や事業が有効に行われているのかどうか、実態を正しく把握した上で、的確に評価することが求められる。そしてその結果を正しく国民に公表し、了解を得ることが要請される。しかし、教育や文化の領域では、その効果がはっきりと目に見えないとか、効果発現に長期の時間を要するなどとして、これまで評価に対し積極的な取組が行われてこなかった。ところが、行政改革の急速な進展の中で、行政効率や経費節減のみの観点からの一方的な行政評価が実施されつつある。評価そのものが必要であることは言うまでもないが、やり方によっては、不十分なというより、誤った評価結果を導くことにもなりかねない。生涯学習行政にあっても、それに相応しい内容の評価方法が構築されなければならない。政策評価の必要性をまとめると以下のようになる。
ア.施策の改善充実のため
 行政にあっては、しばしば、予算獲得が最大の関心事となり、執行結果の分析・評価については、おろそかにされてきた嫌いがある。実施した事業がどの程度目的を達成したのか、達成されていないとすればどこに原因があるのか、評価活動は、それらについて見直し、よりよい事業に改善していくために、重要なものである。
イ.行政活動の目的の再確認のため
 日常的な事業の場合、しばしば事業遂行そのものが目的化してしまい、その本来の目的が意識されないようになることも少なくない。事業の形骸化やマンネリ化などに繋がることになる。常に、何のための施策の展開かが意識されていなければならない。そのために最も有効なものの一つが、評価である。評価は、事業の本来の目的を意識させ、その適否を問い直す契機となる。そして、その目的意識を関係者全員の共通の理解に高めることにも繋がる。
ウ.社会的な承認の獲得とアピールのため
 今、すべての公的な機関やその活動は、納税者や社会一般からの承認を得なければ、存続することが難しくなっている。アカウンタビリティ確保の要請ということである。独りよがりではなく、客観的なデータなどで、行政等が正しく責務を果たしていることを示すために、行政評価は欠かすことのできないツールとなっている。
 なお、評価を行う場合、単年度にとどまらず、継続して行うことが必要となるから、評価のコスト(予算、作業量など)に配慮する必要がある。チェック項目は多いほど評価のキメが細かくなると思われるが、コストの観点から自ずと限界が出てくる。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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