登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【説明】 1)現代的課題に関する学習機会を提供する場合には、生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」(平成4(1994)年)が指摘するように、学習機会自体が現状においてあまり多く提供されていないこと、自己の学習課題に結び付かなかったり、学習課題として意識されない場合が多いことに留意する必要がある。 2)同時に単なる知識・事実の獲得ではなく、理解し体得する必要があること、及び課題解決に取り組む主体的な態度の涵養が求められる。このためには学習機会の量的拡大はもとより、学習機会の内容(学習プログラム)の充実が重要となる。換言すれば学習者が現代的課題を自己の問題として受けとめ理解し、自ら課題解決に向けた態度の決定や行動の契機となることである。 3)国立教育会館社会教育研修所(現・国立教育政策研究所社会教育実践センター)では、現代的課題に関する学習プログラム立案の参考とするため、文部省(現文部科学省)の委嘱を受け、平成6(1994)年度から環境教育、高齢化、人権、国際化、情報化など現代的課題について研究を進め、「社会教育指導者の手引き」としてまとめた。 同所では、学習者が主体的に自らの問題として現代的課題を受けとめるためには、従来の講義形式中心ではなく、「気づき」「考え」「行動する」参加型の学習方法(ワークショップ)が最も効果的であることを提案し、そのための具体的な技法を数多く紹介した。 4)学習機会の量的拡大においては、公民館等の社会教育施設で実施される学習機会(講座等)で、現代的課題を数多く取り上げるべく、国の奨励をはじめ全国で取組が進んだ。 現代的課題の学習機会を量的に把握するため、例示された課題がどれだけ取り上げられたかを指標とする場合が多いが、調査結果(「平成14年度社会教育調査」)によれば、例えば公民館で実施される講座等のうち、現代的課題に類するもの(項目「市民意識・社会連帯意識」)は約6パーセントにすぎず、この10年間も数パーセントで推移、一方で「教養の向上」に類するものは依然として約6割を占めている。 5)現代的課題の本質は、公共性・社会性、現代性・緊急性にあるのであって、列挙された例示をもって狭義に捉えるべきではないが、内閣府が実施した「生涯学習に関する世論調査」(平成17(2005)年5月)でも、生涯学習に対するイメージとして「趣味・教養を高めること」が約4割を占め、実際の生涯学習でも「健康・スポーツ」、「趣味的なもの」が上位となっている。 平成16(2004)年の中央教育審議会生涯学習分科会「審議経過の報告」で、公民館等の社会教育施設の取組が「現在の社会の要請に必ずしも適合していない」と指摘しているのは、このような状況を踏まえてのことである。 br> |
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参考文献 ・国立教育会館社会教育研修所『環境教育のすすめ方』平成6(1994)年 ・国立教育会館社会教育研修所『高齢化に関する学習のすすめ方』平成7(1995)年 ・国立教育会館社会教育研修所『人権に関する学習のすすめ方』平成8(1996)年 ・国立教育会館社会教育研修所『国際化に関する学習のすすめ方』平成10(1998)年 ・国立教育会館社会教育研修所『情報化に関する学習とネットワーク』平成11(1999)年 |
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