生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日
 
 

社会教育法−沿革− (しゃかいきょういくほう−えんかく−)

Social Education Law −history−
キーワード : 教育委員会、社会教育主事、社会教育関係団体、公民館運営審議会、社会教育主事講習規程
井内慶次郎(いないけいじろう)
3.社会教育法の一部改正―平成―
  
 
 
 
   昭和62(1987) 年8月7日の臨時教育審議会の最終答申後、生涯学習振興の為の諸施策が展開されてきたが、「生涯学習振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律(平成2年法律第71号)」が、平成2(1990)年7月1日施行され、その付則第2項で、社会教育法第13条、第51条第3項の規定が改められ、戦後の社会教育行政に大きな役割を担った社会教育審議会は、新しい生涯学習審議会に吸収されることとなった。
 一方で、行政全般についての、地方分権の推進、規制緩和の要請が高まり「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11(1999)年法律第87号)」により、社会教育法も8ヶ条に亘って、削除又は改正された。削除された第5条第5号、第6条第4号、第22条第1号、第47条の2の規定は、いずれも青年学級に関る規定であった。
 この「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」によって、青年学級振興法(昭和28 年法題211号)が廃止されたことに伴う改正である。「青年学級は、勤労青少年に実際生活に必要な職業又は家事に関する知識及び技術を習得させ、その一般的教養を向上させることを目的とした。」昭和28 (1953) 年法律第211号で制定された同法は、戦後の勤労青少年の教育に大きな役割を果したが、経済の高度成長に伴う社会状況の変化は、高校進学率の上昇により、所謂勤労青少年の激減となり、ここに幕を閉じることとなった。
 この他、この平成11(1999)年の改正で社会教育法第15条の社会教育委員の構成に関し、その委嘱手続きに係る規定が削除され、その構成規定も簡素化された。又公民館に関して、第29条第1項の公民館運営審議会必置の規定が廃止され、任意設置になるとともに、その構成も弾力化され、第28条第2項の公民館長任命の際の公民館運営審議会からの意見聴取義務も廃止された。
 平成11(1999)年の改正は、行革からの要請による改正であったが、本来の教育改革の為の改正が平成13 (2001) 年法律第106号で行われた。この平成13 (2001) 年7月21日に公布、施行された、社会教育法の一部改正は、平成10 (1998) 年9月17日、「生涯学習審議会答申」の「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」の提言等が基礎になっている。
 第1にまず、第3条に新たに第2項を追加し、社会教育は、学校教育、家庭教育との三者の連携、協力の要となり、家庭教育の向上に資するように必要な配慮をすべきものとした。
 第2に、教育委員会の事務を定める第5条に、家庭教育に関することがら、青少年に対する社会奉仕体験、自然体験活動に関することがらを明記し、第15条第2項、第30条第1項の規定を改正して、社会教育委員、公民館運営審議会委員の委嘱に当っては、家庭教育に関する学識経験者についても配慮することとした。
 なお、この社会教育法の一部改正と同時に学校教育法の一部改正が行われ、学校は児童、生徒の体験的な学習活動の充実に努めるものとし、この場合社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならないとされた。
 更に又、第9条の4の規定を改正して、社会教育主事の資格要件を緩和し、社会教育に関係ある一定の業務の経験を、その資格に必要な実務経験として評価できることとした。
 平成13 (2001) 年の社会教育法の一部改正は、これからの社会教育行政の展開に当って極めて重要な改正である。
 
 
 
  参考文献
井内慶次郎、山本恒夫、浅井経子『改訂 社会教育法解説』全日本社会教育連合会、平成13年。
 
 
 
 
  



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