生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2005(平成17)年9月14日
 
 

社会教育法−沿革− (しゃかいきょういくほう−えんかく−)

Social Education Law −history−
キーワード : 教育委員会、社会教育主事、社会教育関係団体、公民館運営審議会、社会教育主事講習規程
井内慶次郎(いないけいじろう)
2.社会教育法の一部改正―昭和―
 
 
 
 
   社会教育法施行後の約10年間の激動、対日平和条約の発効、日本の独立回復、教育委員の公選制から任命制への変遷等に対応し、社会教育法も昭和34(1959) 年4月30日「社会教育法等の一部を改正する法律(昭和34年法律第158号)によって大きく改正された。改正された条文は14ヶ条にも及んだが、その主要な点は、
(ア) 市町村教委に、社会教育主事及び社会教育主事補の必置(9条の2)。なお、財政事情を考慮し、猶予期間の措置
(イ) 社会教育関係団体に対する国及び地方公共団体の補助(13条)
(ウ) 市町村の社会教育委員の、教委からの委嘱を受けた青少年教育に関する特定事項に係る指導、助言(17条3項)
(エ) 文部大臣は、公民館の設置、運営上必要な基準を定めること(23条の2)
(オ) 公民館に対する国の補助の規定の整備に関すること等(35条)
であった。
 この一部改正法案の審議は、国会の内外に大きな論議を呼び、二回の国会に亘って審議され、参議院で原案に対し、社会党、緑風会、自民党三派共同提案の修正が行われ、これが衆議院でも議決され成立したのであるが、この案に衆議院の社会党側は遂に賛成しなかった。(衆議院文教委員会会議録第20号−昭和34(1959)年4月3日)参議院の修正の要点は二つ。
 第一は、補助金の執行に当り、国にあっては社会教育審議会、地方にあっては社会教育委員の会議に付して、慎重を期すること(13条関係)。
 第二は、社会教育主事の講習については、大学又はその他の教育機関に委嘱してこれを行うこと(9条の5関係)であった。この昭和34(1959)年の大きな改正によって、戦後の社会教育行政は軌道に乗った。
 しかし、昭和35(1960)年の所得倍増政策等の展開によって、その後高度経済成長時代に入り、所得倍増政策による経済社会の著しい変化、都市化、消費の拡大、家庭をとり巻く状況の変化等に対応する教育の在り方が問われ、学校教育については、中央教育審議会の所謂「46答申」となったが、社会教育審議会からも、「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」という答申が昭和46(1971)年4月30日に行われた。
 これは生涯教育の観点から、あらゆる教育の再検討を提言した画期的なもので、やがて中央教育審議会においても「生涯教育とは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるための教育制度全般が打ち立てられるべき基本的な理念である」との答申を行った。(昭和56(1981)年6月11日)
 これらの答申は、昭和59(1984)年から62 (1987) 年にかけての臨時教育審議会の審議で、更に深められ展開するが、社会教育審議会成人教育分科会では、臨教審の論議の方向性を見定め、社会教育関係者の資質、能力を画期的に改善する要ありとして、社会教育主事講習の大幅な改革を提言し、「社会教育主事講習規程」が昭和62(1987)年2月10日文部省令第2号で抜本的に改訂され今日に至っている。
 
 
 
  参考文献
井内慶次郎、山本恒夫、浅井経子『改訂 社会教育法解説』全日本社会教育連合会、平成13年。
 
 
 
 
 



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