生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年10月26日
 
 

子ども会活動 (こどもかいかつどう)

キーワード : 学校における子どもの問題行動、遊ばない子どもたち、子ども会成立の経緯、子ども会と育成会の関わり方、ジュニアリーダーの育成
加藤雅晴(かとうまさはる)
3.子ども会の活性化
  
 
 
 
   子ども会は、大別して二つの組織に分けられる。一つは、まさにその名称の示す通り、会の中核となる子供たちの集団である。もう一つは、その子供たちを指導し、物質的な援助を行なったりする大人が中心になる育成会である。
 前者は、年々会員が減少し、特に中学生の減少が顕著になっていることは前述した通りである。その原因は幾つか指摘できるが、一口で言えば活動内容に魅力がないということであろう。
 単位子ども会では、夏季休暇や冬季休暇などある特定の期間しか活動プログラムを提供しないところが多い。これでは子供たちは、近所の暇な小父さん、小母さんが遊んでくれた程度にしか子ども会を理解しない。子供たちに会員としての所属意識を強く抱かさせるためには、通年のプログラムを用意し、それが子どもには魅力あるものであり、保護者にとっても、子どもに役立つものと感じられ内容のものでなければならない。
 また、お兄さんお姉さんでもある中学生の会員が減少していることも、子ども会の魅力を失わせている。その原因は、恐らく進学等を控えて子ども会どころではないという両親の思いからであろう。しかし、多発する子どもの問題行動などに対し、異年齢間の触れ合いが少なくなっていることを、その要因の一つであると指摘するものも多い。それを提供する格好の場こそ子ども会である。両親の理解、賛同を得るための活動を積極的に進めるべきであろう。
 後者の育成会は、子ども会の成員が小・中学生であることを考えれば、必要不可欠な組織である。特に、野外活動、スポーツなどでの事故も少なくなく、大人の指導、看視は欠かせない。ただ、単位子ども会の中には、誰のための組織か判らないようなものも間々見受けられる。つまり、子ども会を構成する主体は飽くまでも子供たちである筈なのに、運営の一切を育成会の大人が取り仕切り、子どもは大人の命令に唯々諾々と従わせるような子ども会である。
 これでは、「大人会」で子ども会とはいえない。大人は子どもの自主性を尊重し、危険な行動に対し、又は安全性が確保されないような場合に限り指導するよう配意すべきである。学校の教師的な手法は、出来るだけ避けることが子ども会の魅力になる。
 その他、子ども会活動に極めて重要な役割を果たしているのは、ジュニアリーダーの組織である。このリーダーとしては、高校生を想定してところが多いようである。子どもと年齢も近く気軽にコミュニケーションが取り易いこともあって、子どもの要望などを育成会の指導者に伝えるなどのパイプ役として期待されている。ただ最近は、ジュニアリーダーのなり手が少なく、子ども会活動低調の一つの要因とも言われている。
 高校生が小・中校生を世話する体験は、子ども達の為のみもならず、本人にとっても大変貴重な経験になる。この時期は大学等への進学など、本人は勿論のこと両親も教師もナーバスになり止むを得ない面もあるが、家庭や高校の理解を得る努力をして、多くの高校生に参加してもらうような体制を創りたいものである。
 
 
 
  参考文献
・河野重男他『新社会教育事典』第一法規、昭和58年
・『社会教育の歩みと現状』文部省社会教育局、昭和55年
・伊藤俊夫『生涯学習・社会教育実践用語解説』(財)全日本社会教育連合会、平成14年
・『子ども会白書』(社)全国子ども会連合会、平成15年
・『子どもが主人公の場作りと親へのサポート事業』(社)全国子ども会連合会、平成16年
・『子どもたちの体験活動等に関する調査研究』川村学園女子大調査研究チーム、平成16年 
 
 
 
 
  



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