生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年10月26日
 
 

子ども会活動 (こどもかいかつどう)

キーワード : 学校における子どもの問題行動、遊ばない子どもたち、子ども会成立の経緯、子ども会と育成会の関わり方、ジュニアリーダーの育成
加藤雅晴(かとうまさはる)
2.子ども会の経緯
 
 
 
 
   子ども会は、以前は多くの地域に存在し広く知られていた組織であった。特に、夏休みや冬休みともなれば、子ども会が主催する様々なプログラムに参加することが、子供たちの大きな楽しみにさえなっていた。
 この子ども会の源流は、一般的には余り知られていないことだが「会津藩士の子弟の『遊びの什・生徒の什』や薩摩の郷中教育、庶民対象の寺小屋にある」(『生涯学習・社会教育実践用語解説』)とされている。ただ、この説明は少々こじつけの感がなくもない。確かにこれらを、今日的に青少年の健全育成を図るという視点から捉えれば共通しているとも言えるが、郷中教育や寺小屋までも、そこに今の子ども会活動と一部共通するものが在ったとしても、源流とするのは些か無理があるように思われる。つまり、地域青年団の源流が室町時代或いは江戸時代の若者組、娘組にあるとする見方と同一視するのは如何なものであろうか。
 子ども会は、やはり太平洋戦争終了後に結成されたとするのが、素直のように思われる。戦後、国土は荒廃し、国民の多くは困窮の極みにあった。価値観も軍国主義から民主主義へと大きく変わった。当時の混乱した社会の中で、子供たちの心も荒れ、不良化するものが続出した。
 そのような状況の中で、子ども会結成に直接的、間接的に影響を与えたものとして「青少年不良化防止対策要綱」(昭和21(1946)年10月7日付文部省の地方長官宛通牒)や「児童愛護班結成活動に関する件」(同年10月19日付文部省社会教育局長通牒)などが挙げられる。また、厚生省(現「厚生労働省」)児童局が昭和23(1948)年11月に「児童指導班結成及び運営要綱」を作成し、各都道府県にその結成を奨励したことも見逃せない。また、昭和34(1959)年4月に社会教育法の一部が改正され、社会教育関係団体に対する補助金の交付が可能になったことも、子ども会の育成に貢献したものと考えられる。
 以上のような関係省庁の施策と関係者の尽力によって、地域を基盤にした単位子ども会が続々と結成されるようになったのである・
 そのような中、文部省は昭和38(1963)年11月に「少年生活指導者研究集会」を国立中央青年の家を会場に開催し、それを契機に、子ども会の全国組織結成の機運が盛り上がってきた。そして、この研究集会に参加した有志によって「全国少年団体指導者連絡協議会」が結成され、翌昭和39(1964)年、これを発展的に解消し「全国子ども会連合会」が任意団体として発足した。更に、昭和40(1965)年8月には社団法人として認可され、社会的信用を確かなものにしたのである。 この「社団法人全国子ども会連合会」が、わが国の子ども会の発展に寄与した功績は極めて大きいものがある。
 ただ、子ども会への加入者数は、昭和60(1985)年には800万人以上いたものが、平成16(2004)年には600万人程になり、この20年ほど間に毎年30万人ほど減少してきたことになる。会員の減少は、子ども会の基盤を根底から揺るがすことになる。とりわけ、中学生の加入者が15%程度に落ち込んでいるのは、子ども会の本旨から言っても危機的な状況と視なければならない。関係者の奮起が期待される。
 
 
 
  参考文献
・河野重男他『新社会教育事典』第一法規、昭和58年
・『社会教育の歩みと現状』文部省社会教育局、昭和55年
・伊藤俊夫『生涯学習・社会教育実践用語解説』(財)全日本社会教育連合会、平成14年
・『子ども会白書』(社)全国子ども会連合会、平成15年
・『子どもが主人公の場作りと親へのサポート事業』(社)全国子ども会連合会、平成16年
・『子どもたちの体験活動等に関する調査研究』川村学園女子大調査研究チーム、平成16年 
 
 
 
 
 



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