登録/更新年月日:2008(平成20)年11月14日 |
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2005(平成17)年度に国立教育政策研究所社会教育実践研究センター(以下、国社研)が実施した「社会教育主事の職務等に関する実態調査」の中では、専門性を高めるために、研修が必要であると97パーセントの社会教育主事が考えている一方で、6割の社会教育主事は、研修機会が十分に確保されていないと回答している。このことを裏付けるかのように、平成16年度中に一度も公的な研修に参加することができなかった社会教育主事が34パーセントもいることが明らかとなっている。報告書では、職務多忙、研修旅費確保不能、研修中の代替要員不足などの隘路があることを指摘している。この壁を破るために、期間を短期に分割しての開催や、地区をブロックに分けての開催など、参加者に配慮した研修機会の提供の必要性を提言している。 ここでは、北海道を例に社会教育主事の研修機会の現状については、概観してみることにする。北海道において、生涯学習・社会教育関係職員の研修をはじめ調査研究、情報提供等を担う拠点施設が北海道立生涯学習推進センター(2001(平成13)年、北海道立社会教育総合センターから名称変更)である。推進センターが実施する社会教育指導者を対象とした研修事業は、かつて10事業実施していたものが、近年はわずか4事業になってしまっている。こうした事業が実施できなくなった要因として、厳しい財政事情が挙げられる。 一方、研修に参加する市町村の社会教育関係職員の状況は、推進センター(札幌市)から遠距離にある市町村ほど、参加者が少ない。このことは、広大な面積を持つ北海道であるだけに、研修会に参加するにあたっての経費(旅費)との関係が無視できない。 要するに、費用のかかる遠距離市町村の社会教育関係職員ほど、研修に参加できないという「研修機会の地域間格差」が見えてくる。このことは、北海道のように広大な面積を持たない他県においても、大きな差異はないものと考えられる。 研修を主催する側にも、また参加する側にも、今日の厳しい財政状況は大きな障壁となっている。 また、実際の市町村の社会教育現場では、社会教育事業を企画から実施運営までを社会教育主事一人で担当しているといったケースも散見する。特に、他部局からの異動により、はじめて社会教育を担当することとなった職員にとっては、相当の重荷となり、前例踏襲せざるを得ない状況も理解できる。かつての市町村の社会教育担当課は、数名の職員がチームとなって事業にあたってきた。そうした中では、はじめて社会教育事業を担当することとなった職員でも、ベテラン社会教育主事と仕事をともにすることによって、そのノウハウを学び、確実に力をつけていった。今では、こうした社会教育主事としての「知」「技」の継承機会が少なくなっている。 社会教育主事にとっての研修の重要性は、言うまでもないが、今日のように逼迫した財政状況下にあって、今こそ従前の集合研修という形態に変わる新しい研修スタイルを模索する必要がある。 br> |
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参考文献 ・平成17年度社会教育活動の実態に関する基本調査事業「社会教育主事の職務に関する実態調査報告書」国立教育政策研究所社会教育実践研究センター、2006年 |
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