生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年10月29日
 
 

LAC法を用いた学習相談 (らっくほうをもちいたがくしゅうそうだん)

キーワード : LAC法、学習相談、学習塾、短期療法、生徒指導
藤原靖浩(ふじわらやすひろ)
2.LAC法の手順と成績向上の要因
 
 
 
 
   第1段階から第10段階までの導入手順は以下の通りである。
第1段階:現在やるべきことをラベルに列記する
 個別ラベルにやりたいこと、やるべきことを具体的に書く。
第2段階:グループ別に分類する
第3段階:グループに名前をつける
 各グループに内容と合致した名称をつけ、グループ名別ラベルに書く。
第4段階:必要性(N:Necessity)・可能性(P:Possibility)を配点する
 N・Pを100点満点で点数化した後、平均点(M:Mean)を算出する。
第5段階:得点の高い順に配列し、生活行動分析計画図(LAC図)を作成する
 LAC用紙の左側に100点から10点刻みに点数を記入する。LAC用紙の上段にグループ名別ラベルを貼り、平均点の得点順に個別ラベルを並べる。その際に、得点が高くても、1回で達成できる項目は下の方に並べる。内容と項目を再度吟味してから貼り付ける。
第6段階:最重点目標を2項目ぐらい選ぶ
 自分にとって、現在最も重要なものは何かを考える。各グループの上位に貼ってあるものが重要な項目となる。
第7段階:最重要目標の生活分析日程図(表)を作成する
 最重点目標が決定したら、具体的な短期目標と長期目標を設定し、グラフ用紙に1ケ月後、3ケ月後、1年後の大体の目標を記入し、それを達成するために必要な材料や費用、場所等を具体的にして記入する。この時、生活分析日程図(表)を作成する。
第8段階:1ケ月を単位として、一週間毎に行動を評価する。
 できた項目についてはピンクのマーカーでラベルを消していく。
第9段階:新しいLAC図を作成する
 約1ヶ月ごとに新しいLAC図を作成する。
第10段階:長期的に行動を評価する。
 1ケ月、3ケ月、1年でどれだけ目標が達成できたかを評価する。
 また、LAC法を学習相談に用いた場合の、成績向上に関する要因は以下のものが考えられる。
(1)形成的評価
 LAC法には、形成的評価の方法が取り入れられている。形成的評価とはカリキュラムに関係した用語であり、「新しいカリキュラムを作成しトライアウトする際に、改訂の基盤となるような適切なデータを集めることを含むものである」とされる。子どもの学習における形成的評価とは、子どもの学習を振り返り、応援するために用いられる評価のことである。しばしばテストは、結果が返却されて終了という形になりがちであるが、この評価方法によって、テスト結果を再度確認し、次のテストに向けて明確な学習目標を持つことができるのである。このようなシステムを内包していることが、LAC法の成績の向上の要因の1つである。
(2)内発的動機づけの活性化
 LAC法は、LAC図の作成を通して、負担も少なく、子どもの学習意欲を高められるカウンセリングの技法である。今、しなければならないことが明確に可視化されることで、子どもの学習に対する意識も改善することが可能である。そして、意識や意欲の高まりは、子どもの内発的動機づけを活性化する。人の発達や学習を保障することが教育の役割であるとするならば、教育を実践する現場において、内発的動機づけを育てることがいかに重要であるかは言うまでもない。このような内発的動機づけを促進するLAC法を用いることによって、子どもの自らの学びを促進し、生涯に渡る学習行動を動機づけるものとなるであろう。
 
 
 
  参考文献
・Benjamin S.Bloom,J.Thomas Hastings &George F.Madaus,Handbook on Formative and Summative Evaluation of Student Learning,McGraw-Hill,1971(梶田叡一・渋谷憲一・藤田恵璽訳『教育評価法ハンドブック―教科学習の形成的評価と総括的評価―』第一法規、1973)。
 
 
 
 
 



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