登録/更新年月日:2006(平成18)年10月31日 |
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【日本におけるネットデイの始まり】 アメリカでNetdayの活動が大きく広がっていった頃、日本は、まだインターネットに関する社会的認知が低く、教育に活用しようという動きは限定的であった。しかし、平成8(1996)年ごろから、日本でもアメリカでの展開を知った先進的な教育関係者や、「子どもたちにインターネットを使わせたい」と願う教師・保護者らによって、ネットデイの導入が図られ、各地域において手探りで実施されるようになった。 ネットデイを始めるきっかけは、地域ごとによって多様である。たとえば、群馬県前橋市を中心に活動する「インターネットつなぎ隊」は、学校のホームページを見て学校担当者の苦労を知った一般の人々が「お手伝いしましょうか」というメールを送ったことから、50人を超えるボランティアグループが生まれ、市教育委員会と連携で活動を展開している。 また、福島県阿武隈地域では、山間部の小さな中学校の教師を中心にした情報交流の輪に、大学の研究者や民間のネットワーク技術者が加わり、「あぶくま地域展開ネットワーク研究会(あぶネ研)」として活動した。 平成11(1999)年8月には、個別に活動する全国のネットデイ関係者が一堂に会する初めての機会として、シンポジウム「ネットデイサミットin群馬」が、群馬県前橋市で開催された。そこで採択された共同宣言は、「ネットデイのひとつの意義は、地域社会の方々が『学校へ行こう』という気持ちを持つことである」という文から始まる。以降、各地で開催されていくネットデイの一つの指針となった。続いて、平成13(2001)年に「ネットデイサミットin愛知」、平成17年に「ネットデイサミットin柏」が開催されている。 【日本のネットデイの特徴】 アメリカでのネットデイは、1)学校経営に地域が深く関与する歴史的背景、2)地域社会が直接貢献する企業意識、3)キリスト教的ヒューマニズムに基づくボランティアの存在、などに支えられて活動が拡大した。それに対して、日本では、学校現場における規制もあって、地域が学校を支援する体制も整ってはいなかった。日本でネットデイが自律的に活動を拡大する転機となったのが、阪神淡路大震災においてボランティアを経験した住民たちが中心となった「はりまスマートスクールプロジェクト」のネットデイである。このモデルは、配線工事のみを直接の目的とせず、情報拠点としての機能を持った地域の核としての学校を支援する住民のしくみを、ネットデイをきっかけとして構築することを目指していた。「はりまスマートスクールプロジェクト」は、教育関係者だけでなく、従来から地域で活動する自治会や子供会などの既存組織を利用し、より多くの地域住民をネットデイの活動に参画させた。ホームページやメーリングリストという、ICT(情報通信技術)を、実際の地縁・血縁社会の中に効果的に組み込むことに成功したのである。これは、日本各地で実施される活動のモデルともなった。 このように、日本型のネットデイは、1)できるだけ組織的な動員をせず、参加者の自発を促す努力をする、2)参加者に多様な活躍の場を作り、個人が自主的に仕事を選択する、3)誰もが積極的に役割を担い連携する作業を企画する、4)教師が生徒に指導するのではなく、大人と子どもがともに学び合える場を作る、といった特徴がみられるようになった。 br> |
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参考文献 ・インターネットつなぎ隊、http://www.tsunagi.org/a/index.shtml、参照日:平成18年10月31日 ・NPO法人 はりまスマートスクールプロジェクト、http://www.ssj.gr.jp/hssp/index.html、参照日:平成18年10月31日 ・「学校情報化に係るボランティア活用・支援の在り方等に関する調査研究報告書」(社)日本教育工学振興会、平成12年(http://www.japet.or.jp/jnews/volunt.htm) |
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