生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年10月31日
 
 

ネットディと生涯学習 (ねっとでぃとしょうがいがくしゅう)

Net Day and Lifelong Learning
キーワード : ボランティア、インターネット接続、学校教育の情報化、「開かれた学校」づくり、地域社会
綾牧子(あやまきこ)
3.ネットデイの成果と課題
  
 
 
 
  【学校教育における情報化の推進】
 ネットデイは、学校の教室すべてから、インターネットにアクセスできる環境を整えるものであり、実質的に学校教育の情報化を推進する。現在の学習指導要領においては、「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の項で、「各教科等の指導に当たっては、児童(生徒)がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、適切に活用する学習活動を充実するとともに、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること」と示されている。ネットデイの実施は、まさに生涯学習社会に生きる子どもたちの学習環境を整えるものとして、大きな意味を持つものである。
 一方、政府もe-Japan戦略などのプランにより、学校教育の情報化を進めてきている。しかし、依然、校内の情報ネットワークが整備されていない地域が多いのも事実である。ネットデイにように、ボランティア活動によって校内ネットワークの整備が図られていくことが、今後ますます期待される。
【地域社会におけるネットワークの創出】
 日本のネットデイが成功するポイントは、その活動が、当初目的としていた校内ネットワークの整備ということよりも、学校にネットワークを開通させるまでの、教師や保護者、地域住民、さらに子どもたちが協力して、自主的に活動していくプロセスが重要視されることである。「学校と地域社会をつなぐきっかけ」としての役割を重視しているのである。ネットデイの実施にあたっては、工事に必要な最低の人員で実施するのではなく、多くのボランティア参加者全員が、それぞれ技術指導を受けながら、重要な役割を担ったり、自発的に取材や広報、ワークショップを実施したりしていく。このような協働作業的な活動は、旧来、地域住民がお互いに協力し、支え合って生活していた地域社会全体のつながりを再生・活性化させ、新たな学校と地域社会の連帯感やネットワークを創出するものである。そして、ネットデイ実施後は、単なる校内ネットワークの構築を超えて、学校教育現場の情報化そのものを支援する活動として、継続されている地域もある。校内ネットワークは、一度整備すれば終わるものではなく、継続的・安定的に動作させるために、一定の継続的な支援が必要なのである。ネットデイ実施後も、保護者や地域住民が積極的に学校運営に参加・協力し、「開かれた学校」づくりに貢献する方向へ向かわせるようにすることが、活動の成功のポイントであり、今後の課題でもある。
 ネットデイの参加者が地域社会でネットワークを作っていくことの好影響は、さまざまな部分に現れる。たとえば、「総合的な学習の時間」などの学習指導に関する課題をはじめ、いじめや不登校、青少年犯罪の問題など、学校をとりまく多くの課題がある。それらの解決方法として、「開かれた学校」づくりの重要性が指摘されているが、ネットデイはまさに「開かれた学校」づくりを進める有効な手段でもある。
 以上のような意味において、ネットデイは、自主的に参加したボランティアそれぞれにとっての生涯学習の場であり、地域社会のネットワークが創出・形成・拡大されていく活動であると捉えることもできる。
 
 
 
  参考文献
・「初等中等教育における学校教育の情報化の今後の姿について(論点整理)」初等中等教育における教育の情報化に関する検討会、平成17年4月15日
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/027/ronten/05051601.htm)
・ネットデイサミットin柏、http://summit.netday.jp/index.html、参照日:平成18年10月31日
 
 
 
 
  



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