生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2014(平成26)年12月15日
 
 

中学生の参画型ボランティア活動 (ちゅうがくせいのさんかくがたぼらんてぃあかつどう)

キーワード : ボランティア活動、参画型ボランティア活動、社会参画
藤原靖浩(ふじわらやすひろ)
1.中学生と社会参画
  
 
 
 
   思春期と呼ばれる時期にある中学生は、身体や心の変化が大きくなり、大人への憧れと同時に大人に反発する気持ちを持つという難しい時期に置かれている。加えて、現在のように変化が激しく、複雑な人間関係を有する社会を生きることは、中学生にとって難しいことである。このような状況を鑑みて、これからの教育では中学生に「生きる力」を育み、個人的・社会的な資質を育成していかなければならない。
 中学生の個人的・社会的な資質を育成する手段の1つとして、特別活動では「ボランティア活動などの社会参加」を推進している。ここには「地域の福祉施設や社会教育施設等での様々なボランティア活動、また、有意義な社会的活動への参加・協力(地域の文化・スポーツ行事、防災や交通安全など)、さらに、学校間の交流、幼児や高齢者との交流、障害のある人々などとの交流及び共同学習」などの活動が含まれている(文部科学省『中学校学習指導要領解説 特別活動編』ぎょうせい、平成20(2008)年、63頁参照)。そして、現在でも、多様な社会資源を活かして、学校ごとにさまざまな社会参加が実践されている。新学習指導要領でも、学校内の生徒会活動を基礎に、生徒の関心が広く学校外の事象に向けられることを目指して、ボランティア活動や地域の人々との幅広い交流などの社会参加を推進することの重要性が指摘されている(文部科学省サイト「新学習指導要領・生きる力Q&A」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/qa/14.htm)。
 ところで、これまでに実践されてきた学校が主体となる社会参加では、中学生が大人によって準備された活動に参加し、与えられた役割をこなす形がほとんどであった。このような社会参加は、中学生のボランティア活動や地域貢献の意識を育むという点において重要であるが、多くの中学生は学校が主体となる社会参加を自らの意思ではなく、学校から与えられた役割の1つであり、学校行事の一環として捉えている。このような状況では、中学生の主体性や自発性は必ずしも十分に育まれておらず、彼らは高校生、大学生と成長していくにつれて、地域から離れ、地域貢献の意識を失っていくのである。現在、多くの地域では高齢化が進み、自治会や町内会に若い力を導入することが困難になっている。これは、中学生の時期から地域とのつながりを深め、これまでの社会参加の意識から社会参画という新たな段階への意識の醸成を行う必要性を示唆しているのである。
 
 
 
  参考文献
・文部科学省『中学校学習指導要領解説 特別活動編』ぎょうせい、2008年。
・文部科学省「新学習指導要領・生きる力Q&A」(閲覧日:2014年7月1日)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/qa/14.htm
 
 
 
 
  



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