登録／更新年月日：2005(平成17)年9月14日
生涯学習の概念 (しょうがいがくしゅうのがいねん) |
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| concept of lifelong learning | |
| キーワード ： 生涯学習の範囲、、ファジィ概念、中央教育審議会答申、臨時教育審議会答申、生涯学習審議会答申 | |
| 山本恒夫（やまもとつねお） | |
| 3．審議会答申のいう生涯学習 |  |
中央教育審議会等での生涯学習の概念規定はどのようになっているかということ。この概念は生涯学習関連の行政でよく使われる。
【説明】
国の答申が生涯学習の考え方をはっきりと示したのは、中央教育審議会答申『生涯教育について』(昭和56（1981）年)が最初であろう。そこでは、「今日、変化の激しい社会にあって、人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。その意味では、これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい。」とされている。
ところが、臨時教育審議会（昭和59（1984）〜62（1987）年）は学習者の視点から課題を検討する立場を明確にするとして、生涯教育という言葉を使わなかったために、生涯教育といわれてきたことを生涯学習の中に含めた用語法となっている。「ここでは学校教育および職業能力開発に関する学習活動のほか、スポーツ活動、文化活動、趣味・娯楽、ボランティア活動、レクリエーション活動など、人間が生涯にわたって豊かに生きていくため自ら向上を目指したり、活動自体に楽しみを見い出す主体的な活動を『学習』としてとらえた」（臨時教育審議会『審議経過の概要その3』第2章、昭和61（1986）年）。これ以後、行政関係ではほとんど生涯学習のみを用いるようになった。
その後、中央教育審議会答申『生涯学習の基盤整備について』(平成2（1990）年)は、生涯学習推進上の留意事項という形で、次のような生涯学習の考え方を示した。
1．生涯学習は、生活の向上、職業上の能力の向上や、自己の充実を目指し、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであること。
2．生涯学習は、必要に応じ、可能なかぎり自己に適した手段及び方法を自ら選びながら生涯を通じて行うものであること。
3．生涯学習は、学校や社会の中で意図的、組織的な学習活動として行われるだけでなく、人々のスポーツ活動、文化活動、趣味、レクリエーション活動、ボランティア活動などの中でも行われるものであること。
生涯教育を排し、生涯学習のみを用いて以来生じた用語法の混乱は、生涯教育を生涯学習の推進、振興、援助、支援などに置き換える工夫や、生涯学習という用語の多義性を明らかにすることによって収まってきた。なお、社会教育との関係については、生涯学習審議会答申『社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について』（平成10（1998）年）が活動という観点から、「生涯学習活動は、広範な領域において行われており、社会教育活動の中で行われるものに限定されるものではないが、社会教育活動は、幼児期から高齢期までの生涯にわたり行われる体育、レクリエーションまでをも含む幅広い活動であり、社会教育活動の中で行われる学習活動が生涯学習活動の中心的な位置を占めると言える」としている。
・井内慶次郎監修、山本恒夫・浅井経子編著『生涯学習［答申］ハンドブック−目標、計画づくり、実践への活用』文憲堂、平成16(2004)年
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