生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2011(平成23)年1月1日
 
 

学・社・民の融合による教育の推進 (がく・しゃ・みんのゆうごうによるきょういくのすいしん)

キーワード : 学・社・民の融合、生きる力、教育振興基本計画、地域教育コーディネーター、生涯学習主任
真柄正幸(まがらまさゆき)
1.「学・社・民の融合による教育」の背景と必要性
  
 
 
 
   平成18(2006)年12月に改正された教育基本法第13条では、「学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。」が新たに規定され、教育の目的と目標を達成するために、学校、家庭、地域住民その他の関係者が相互に連携・協力することが努力義務として示されている。また、教育基本法を受けて平成20(2008)年4月に施行された学校教育法においても、「社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携」や「保護者や地域住民その他の関係者との連携及び協力」の必要性が強く打ち出されている。さらに、平成20(2008)年6月に改正された社会教育法においても、「学校の授業終了後または休業日における学齢児童及び生徒を対象とした事業の実施」や「社会教育における学習成果を学校等で行う教育活動の機会及び奨励」が教育委員会の事務として新たに示されるなど、学校教育との密接な関連性を強く示している。
 学校教育では、改正された教育基本法の趣旨に基づき、小学校では平成23年度から、中学校では平成24年度からそれぞれ新しい学習指導要領が全面実施される。学習指導要領とは、全国どこの学校で教育を受けても一定の教育水準を確保するために、各教科、道徳、総合的な学習の時間などの目標や指導内容等を文部科学省が定めているものである。新しい学習指導要領では、現行の学習指導要領に引き続いて「生きる力」をはぐくむことを基本的なねらいとしている。生きる力とは、「基礎・基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、自ら課題を見つけ、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」、「自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性」、「たくましく生きるための健康や体力」の三つを総合した力のことである。また、生きる力は、「知識基盤社会」とも言われる現代の変化の激しい社会に対応するために必要な力であり、学校・家庭・地域社会が相互に連携して、社会全体ではぐくんでいくものと言われている。
 このような中、平成19(2007)年4月に政令指定都市となった新潟市では、新潟市教育ビジョンの中で重点的な取組として五つの「学びの扉」を掲げ、その筆頭に「学・社・民の融合による教育」を挙げている。同市では、「学・社・民の融合」を「学校教育と社会教育、地域住民や地域課題に取り組む団体など民間とが一体となって教育活動を進めること」と定義し、実施計画では「学・社・民の融合」の考え方を根幹に据えて策定している。
 「学・社・民の融合による教育」の推進は、教育基本法・学校教育法・社会教育法等の改正の趣旨を十分に踏まえた施策であり、教育の目的と目標を達成するために必要な施策なのである。また、国及び地方公共団体の生涯学習の振興に有効な施策であるとともに、学校教育においては、学習指導要領の基本的なねらいである「生きる力」をはぐくむために必須の取組なのである。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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