登録/更新年月日:2006(平成18)年11月27日 |
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【定義】 コーディネートに最も近い用語は「調整」であろう。ただし、生涯学習関係の答申等をみるともう少し広がりのある意味で使われているように思われる。そこで、生涯学習領域でのコーディネートとは、当事者(以下、ここではコーディネートの対象となる人、機関、施設、団体等を当事者とよぶ)のニーズに合致したものを探したり、複数の当事者のニーズを組み合わせて当事者にとって最適な合意点を探し出したりする働きと定義することにしよう。 また、コーディネート機能については、次のように定義することにする。 コーディネート機能={(マッチング,企画・設計)∞調整} この場合の(マッチング,企画・設計)は、{マッチング,企画・設計,マッチングかつ企画・設計}の3つの要素から成るものである。なお、∞は山本恒夫が考案した関係記号を変形したもので(Web上で使える記号を使ったため)、「結合」を示している。 【説明】 生涯学習領域の国の生涯学習関連の答申、報告等では、「連絡調整」という用語は昭和56(1981)年の中央教育審議会答申『生涯教育について』で使われているが、「コーディネート」という用語が使われるようになったのは、平成7(1995)、8(1996)年以降のことである。 それらの答申、報告等からコーディネートに関わる部分を抽出し、そこでの使われ方をみると、「連絡調整」だけでなく「情報提供」「マッチング」「相談」「企画・設計」などの意味を含めて使われている。そこで、生涯学習領域のコーディネートとは、広義には「情報提供」あるいは「マッチング」、「相談」、「企画・設計」と「合意到達のための調整」とが結びついた働きと考えることができる。ただし、「合意到達のための調整」では長いので、ここでは省略して「調整」といっている。また、「情報提供」「マッチング」「相談」「企画・設計」の概念には重複が見られるので、それを整理してみることにする。 まず「情報提供」であるが、一般的にはそれは案内情報等の提供のことである。「マッチング」とは、当事者のニーズに合致した学習機会等を紹介したり、複数の当事者同士を結びつけたりすることである。また、「相談」については、学習情報を提供したり学習技法等を紹介したりしながら、学習者や生涯学習関係者等の学習に関する悩みや問題を解決するための助言活動と定義できる。さらに「企画・設計」とは、学習活動や地域の生涯学習推進を計画したりすることである。 これらの関係を考えると、「調整」はそれ自体が目的ではなく、何らかの目的を実現するための手段であると考えられる。したがって、目的となる要素と「調整」が結びついた働きをコーディネート機能と考えればよいであろう。そのように考えると、チラシ、ポスター、パソコン端末等を使った「情報提供」では調整の必要はないので、コーディネート機能の要素から除くことができる。「情報提供」の中の、学習者のニーズに最適な案内情報の提供については「マッチング」に含めればよいであろう。また「相談」の中の情報提供も「マッチング」に含めればよいし、学習活動等の計画に関わる助言は「企画・設計」に含めればよい。それ以外の学習上の悩みの相談等はコーディネートとはあまり関係がないと考えられる。 以上のことから、コーディネート機能とは「マッチング」と「企画・設計」に「調整」が結びついた働きに整理できる。もちろん、「マッチング」と「企画・設計」にしても、重複した部分がある。両者の重複については、ケース・バイ・ケースでどちらかに振り分けて考えればよいように思われる。 br> |
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参考文献 ・浅井経子「生涯学習支援者に求められる技術の開発」日本生涯教育学会年報25号、平成16年。 ・浅井経子「生涯学習領域におけるコーディネート機能とその手法開発」淑徳短期大学研究紀要第40号、平成13年。 ・井内慶次郎監修、山本恒夫、浅井経子『生涯学習[答申]ハンドブック−目標、計画づくり、実践への活用−』文憲堂、平成16年。 |
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