生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

東京都の生涯学習振興 (とうきょうとのしょうがいがくしゅうしんこう)

キーワード : 生涯学習推進本部、生涯学習審議会、生涯学習振興施策、生涯学習推進計画
稲葉隆(いなばたかし)
2.生涯学習振興施策の停滞(平成11年〜平成14年)
 
 
 
 
   21世紀を目前にして、バブル経済の崩壊が社会の停滞をもたらし始めた頃、都政でも行政施策全体の再構築が求められ、それまでの生涯学習振興施策が停滞し、施策の新たな方向性を模索する時期を迎えた。
 バブル経済の崩壊は、都財政にも大きな影響を及ぼし、平成11(1999)年7月の東京都財政再建プラン(第二次は平成15(2003)年10月)、平成11(1999)年11月の危機突破・戦略プラン、平成12(2000)年12月の都庁改革アクションプラン(第二次は平成15(2003)年11月)と、財政再建、都政再建のための計画が立て続けに打ち出された。そして、財政当局から教育庁に対して、都の生涯学習振興施策・社会教育行政施策は何を目的に、都行政の役割として何を行うべきかを明らかにした施策の早急な再構築が求められた。
 また、この時期は、生涯学習・社会教育に関する施策・事業等の見直しが進められた。
 教育庁が所管していたものでは、7つの青年の家の廃止(昭和33〜48年度開設・平成12〜16年度末廃止)と2つの新青少年社会教育施設(区部及び多摩地域ユース・プラザ)へのPFI手法の導入(平成13・14年度決定、平成15・16年度開館)による再編整備、生涯学習センターの廃止(平成8年度開設・平成13年度末廃止)、文化行政を知事部局へ移管し一元化(平成13年度末、文化財関係を除く文化事業及び東京都美術館・東京文化会館・東京芸術劇場・東京都現代美術館を移管)、近代文学博物館の廃止(昭和42年度開館・平成13年度末廃止)と高尾自然科学博物館の移管(昭和42年度開館・平成15年度末廃止)、都立多摩社会教育会館の大幅な機能縮小(昭和43年度開館・平成14年度末機能縮小)等が相次いでなされた。
 さらに、本庁で実施していた社会教育事業も、生涯学習のための番組提供、女性のためのリーダー研修、女性学習グループ交流集会(以上、平成9年度)、青少年洋上セミナー、中国帰国者地域交流事業(以上、平成11年度)などが事業終了した。
 この他、東京都生涯学習推進本部の「東京都生涯学習推進協議会」(会長:教育長)への改組(平成11年度)、都民カレッジの事業終了(平成12年度)、青少年センターの廃止(生活文化局所管・昭和59年度開設・平成15年度廃止)・環境学習センターの廃止(環境保全局所管・平成6年度開設・平成15年度廃止)、都立の大学・短大を再編して新大学の設立(平成17年度)なども行われた。
 このように財政難を背景にした生涯学習・社会教育の施策全体の縮小・廃止等見直しが求められていく中で、生涯学習振興施策、中でも社会教育行政施策の早急な再構築という大命題が与えられ、さまざまな方向を検討していた都教委は、第4期都生涯審の審議の中間まとめ(平成14(2002)年1月)、答申(同年12月)を受け、子どもの成長・発達をトータルに見通し、学校・家庭・地域が連携・協働する仕組みづくりを目指し、学校教育を基本軸にした社会教育行政の展開を構想した。この構想を具体化した事業として、「地域教育サポートネット事業」を平成14年度から16年度までの3年間、5区市において実施した。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
 



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