生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

視聴覚教育メディア研修カリキュラム (しちょうかくきょういくめでぃあけんしゅうかりきゅらむ)

Audio-visual Educational Media Teacher Training Curriculum Standard
キーワード : 教員研修、カリキュラム開発、IT講習、メディア利用教育、授業設計
吉田広毅(よしだひろき)
3.教育メディア研修カリキュラムの標準案−平成16年3月
  
 
 
 
  【背景】
 教育メディアの状況の変化に対応し、再度「標準」を改定する必要性が論じされ、平成14(2002)年から文部科学省の委嘱研究として、『「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」の改正に向けた調査研究』が始まった。この研究の中で、以下の改定の提案が為された。
・研修の名称を「視聴覚教育メディア研修」から、より包括的な「教育メディア研修」に改める。
・従来の「標準」に見られた、受講者の習熟度や役割による研修内容の固定を廃する。
・研修実施者が研修内容を自由に選択し、カリキュラムを構成できる方式を採用する。
・国、都道府県、市区町村が行なう研修の役割分担については「対象者別研修事例一覧」に示す。
・従来の2段階であった研修の段階を、「研修項目」「研修事項」「研修細目」の3段階にする。
・教育メディアを取り巻く状況の変化に伴い、研修項目の内容を大幅に入れ替える。
・「研修項目」の分類、段階分けの基準をメディアの状況に合わせて改める。
・研修内容を、教育メディアの動向や将来的な展望に対応できるよう、それぞれの「研修事項」の下に、「○○の教育利用の現状と課題」という名称の細目を設ける。
 なお、この「標準案」は平成17(2005)年度の調査研究を経て、平成18(2006)年4月に「標準」として策定される予定である。
【内容】
 この「標準案」は、「研修項目」「研修事項」「研修細目」の3段階から成る。それぞれの関係は「教育メディア研修」を一教科とすれば、研修項目は教科の単元、研修事項は小単元または単位授業、それに、研修細目は単位授業または教授/学習活動という位置づけある。ここでは、22の研修項目、66の研修事項、261の研修細目が採用された(平成17(2005)年3月現在)。研修細目を細かく記述したのは、情報技術の発展に伴う技法や、ハードウェアやソフトウェアの変化に対応した「標準」の修正を容易にするため、そして研修の企画にあたって実施者の選択の幅を広げるためである。
 しかし、あまりにも多数の研修事項の自由な選択は、かえって選択することの難しさも予想されるので、選択のモデルとなる研修カリキュラムの事例、モデル・プラン、または、お勧めプランを設けた。モデル・プランは、研修対象別、例えば、「図書館司書」などのためのコースや、研修目的別、例えば、「インターネットを活用した授業実践ができるようになる」ためのコースや、あるいは、両者を含めた「学校の管理職として必要な情報教育の基礎を理解する」コースなどを示した。
 また、近年研修のノーズが低くなっている16ミリ映写機やOHPなど従来からの映像を提示するメディアについて、各地域での研修が既に一定の成果をあげている事実を踏まえ、これを「映像機器」という「研修項目」に統合することで扱いを縮小しつつも、「標準案」に残すこととした。その上で、地域や機関の現状に合わせ、研修実施担当者の自由な取捨選択に任せることとした。一方、ICTの現状を鑑み、コンピュータ関連のメディアの扱いを拡大し、ハードウェア、または、ソフトウェア別に「研修項目」を立てることとした。
 
 
 
  参考文献
・文部省社会教育局『視聴覚教育研修カリキュラムの標準』文部省、1973年
・文部省生涯学習局『視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準』、1992年
・日本視聴覚教育協会『「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」の改正に向けた調査研究報告書』日本視聴覚教育協会、2003年
・日本視聴覚教育協会『「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準」の改正のための調査研究報告書』日本視聴覚教育協会、2004年
 
 
 
 
  



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