生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年8月27日
 
 

図書館の評価 (としょかんのひょうか)

library evaluation
キーワード : マネジメントサイクル、評価指標、ISO11620、JISX0812
青柳英治(あおやぎえいじ)
1.定義と背景
  
 
 
 
   図書館の評価とは、図書館経営の視点から、利用者に提供するサービスを改善するために、図書館の事業計画に示された目標に照らして、その達成状況を査定することである。
 図書館サービスの評価は、民間企業で広く導入されている計画(Plan)−実行(Do)−評価(See)というマネジメントサイクルの評価のプロセスに沿って行われる。マネジメントサイクルとは、まず、資源配分とそれによる成果の評価(See)結果を踏まえて、今後の資源配分のあり方と達成目標を設定(Plan)する。次に、設定した目標の達成に向け活動を実行(Do)し、その効率と成果を目標に照らして評価(See)する。さらに、その結果をもとに、改善計画やより高い目標設定(Plan)を行うというサイクルによって、仕事のレベルを高めていくものである。
 近年、地方自治体の行政計画では、明確な目標を定め、限られた資源を効果的・効率的に活用するといった計画の戦略性が求められている。戦略計画の実施に際しては、具体的な目標を立て、それを実施する目標管理と、その成果を評価して事業の改善を図ることが重要となる。図書館のサービス目標は、数値によって、あるべき姿を表現することが求められるようになった。
 これまで、図書館は、地方自治体や大学などの下部組織として、組織運営上の裁量の範囲が限定され、上述の民間企業における経営手法を適用する余地は、あまりないと考えられてきた。
 しかし、近年の図書館を取り巻く動向は、変わりつつあり、図書館の評価が重視されるようになってきた。地方自治体では、財政状況の悪化や市民意識の高揚に伴い、また、税金の効率的運用の観点も加わって、図書館を含めた執行部門の活動を評価し、その結果を予算配分や組織の見直しに利用しようとする動きがある。また、大学においては大学設置基準の改正(1991年)によって、自己点検・自己評価が求められるようになった。その結果、大学図書館でも適切な評価方法の開発が模索されるようになった。
 評価を適切に行うには、1)評価する対象、2)評価の観点、3)評価の指標、4)達成目標と評価基準の4点を決定する必要がある。
 
 
 
  参考文献
・図書館情報学ハンドブック編集委員会編『図書館情報学ハンドブック』第2版、丸善、1999、p.762-763(田村俊作「7.4 経営管理」)
・日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会編『図書館ハンドブック』第6版、日本図書館協会、2005、p.127-138.(田村俊作「B.公立図書館の計画と評価」)
 
 
 
 
  



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