登録/更新年月日:2007(平成19)年2月19日 |
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現在、我が国で実際に行われているインターンシップには、教育機関が主導して職業実践教育の一環として行っているものと、企業などが企業戦略(確実な人材確保のための手段、宣伝、社会的責任など)の一つとして独自に行っているものがある。この場合には、企業が独自に開発した自社用のインターンシップ・プログラムに、参加希望の学生を一般公募する形で行われている。人気企業が行うインターンシップの場合、希望者も多く、競争率は高いという。そうしたことから最近では、インターンシップ・プログラムをもたない各種教育機関の学生に対して、国内外の企業と提携してインターンシップ・プログラムを独自に開発し、希望者に有料で斡旋するビジネスも登場してきている。 いずれにしても、このインターンシップは、現実の動きからすれば、いわゆる「いつでも、どこでも、誰でも」が、自らの手段・方法を用いて、生涯に亘って学び続けるという、「生涯教育論」からの直接的要請ではない。しかしながら、結果的にその生涯教育の理念を実現する、いわゆる「ヨコの統合」の具体化の一つでもあると言える。 これからは、こうした、言わば「帰納的な」課題解決型の教育プログラムの開発・実現が有望である。つまり、現実的な必要性から、それまでの学校教育の枠組み、例えば時間・場所・具体的なプログラムを越え、新たに実社会にその関わりをもたせるというような取り組みが、是非とも必要であるということである。近年の「学社融合」の主張は、まさにこうした観点からの新たな位置づけを得ることができるであろう。 とは言え、こうした現実の必要性からの「ヨコの統合」の取り組みは、現在、各学校段階あるいは学校種によって、かなりの違いが見て取れる。学校内での学習、学校外での学習との連携・協力の必要性が、それぞれの学校段階、学校種によって必要とされていても、それらを時間的・時系列的にうまく調合していかないと、それぞれの取り組みは、それこそ個々別々となり、いわゆる一貫性のないものともなる。 それでは、もう一方の「タテの統合」が、具体的説得力をもつものとはならない。何も「生涯教育論」のために、そうした現実が必要なのではないが、学ぶ側の論理としての生涯学習を、より具体的に保障・実現していくためにも、やはり「タテの統合」までをも視野に入れた取り組みが、これからは改めて求められるであろう。ましてや、これからは、インターンシップも含めた、いわゆる「キャリア教育」が、学校教育においても大きなウエイトを占めることを予期すれば、こうした視点と取り組みの重要性は、実に大きいものと言えるであろう。 br> |
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参考文献 ・井上講四「これからの高校教育のあり方を考えるU-ソフトの面から-」山崎英則編著『新・教育原理-高等学校の教員をめざすひとに-』ミネルヴァ書房、2006年、pp.188〜 200 |
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