登録/更新年月日:2006(平成18)年10月28日 |
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【情報格差と情報弱者の定義】 情報格差とは情報へのアクセスできる者とアクセスできない者との格差を指し、デジタル・ディバイドと呼ぶ。 情報機器を使いこなせない高齢者や子どもあるいは経済的に入手できない貧困層や一部の障害者はより一層経済的に困難な状況がある。このような情報面からみて不利な立場にある人々を情報弱者と呼ぶことにする。 【説明・動向】 携帯電話を「ケータイ」と呼ぶのは音楽・映像の交換、メールの交信やカメラや財布の機能にまで広がっているからである。パーソナルコンピュータも、「パソコン」と呼ばれ、音声・画像の授受やネット・バンキングなどの活用にまで拡がっている。メールの交信などで、従来みられなかった絵文字などが使われることで、若者に限らず新しいケータイ・パソコン文化が生まれ、急激に拡がりつつある。 【課題】 上記の実情を踏まえケータイとパソコンに着眼し、さまざまな情報格差を考察する。さらに人々がケータイ・パソコンの環境になじんでいく過程を「生涯学習」と文化生態学の視点から捉える。 【事例】 平成14(2002)年の調査。ケータイやパソコンの所有・使用等に関してアンケート調査を217名に実施した。仕事や学習、生活時間、消費などライフスタイル(生活様式)の変化を調べた。その実態とは、ケータイやパソコンの所有・活用・生活時間の変化、消費など16項目にまとめたものである。この調査では、20歳代と50歳代の男性はケータイでは100%(全員所有)で、60歳台以降ほぼ高齢者ほど所有者の割合が低下していた。ここではケータイの所有率の総合平均値は77.9%であったが、パソコンの所有率の方が少し高い(79.0%)と判った。 2004(平成16)年の調査。ケータイやパソコンではメールの交信などでイラストや絵文字などが使われることで、新しい意味が付加され従来と異なるコミュニケーションが出現している。今日では、出会い系サイトに絡んだ事件は、未成年者が被害者になっていて、女性が圧倒的に多い。そして、阪神淡路大震災(1995年1月)の記録からケータイの有効性を確認した。また、インターネットの活用で震災の状況がいち早く国外に発信されていた。職業安定所に出向いて直接インタビューも試み、情報弱者の実態を探究した。 職業安定所の調査(2003年11月)では2002(平成14)年度は石川県金沢地区で1400名の教育訓練の受講があり、うち8〜9割がパソコン系の訓練である。今やエクセルやワードが出来ることがスタートラインである。また、教育訓練は、在職中の人でも可能であり、辞めてから1年以内であれば、かかった費用の2〜4割を支給している。このように情報弱者の支援の実情が一部明らかになってきた。 情報機器を使いこなせない高齢者や経済的に困難な人など、情報面からみて不利な立場にある人々を情報弱者としてきた。しかし、様々な調査から、デジタル・ディバイドでは説明がつかない情報弱者が存在する。情報機器を使いこなせるのにメディア犯罪の被害者または被害を受けやすい人々もいる。情報を交信する間に起こる感情的なトラブルや意味の取り違いによる紛争などがある。そこで、これらを含めて情報弱者と呼ぶことにする。 br> |
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参考文献 ・カルチュルエコロジー研究委員会編 『情報革命の光と影』 NTT出版、2001. ・C&C振興財団編著『デジタル・デバイド〜構造と課題〜』NTT出版、2002. ・関口礼子・小池源吾・西岡正子・鈴木志元・堀 薫夫著『新しい時代の生涯学習』有斐閣、2002. ・岡田朋之・松田美佐『ケータイ学入門』有斐閣2002. ・ジェームズ・E・カッツ/マーク・オークス編『絶え間なき交信の時代−ケータイ文化の誕生−』、2003. |
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