登録/更新年月日:2007(平成19)年3月3日 |
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アクション・ラーニングは、まず職業訓練の場で試みられ、現在でも産業界で最もよく知られている。始まりは、1940年代のイギリス石炭産業界、物理学者のレバンスの試みである。炭鉱の経営者たちが問題に直面したとき、彼は、経営者たちがその問題を解決するために「専門家」に依存するのではなく、経営者自身が少人数で集まり、彼らが考えたことについて、互いに質問し合い自分たち独自の解決策を見出すことをすすめた。この時のレバンスの鍵となる考え方は、「行動のない学習はなく、学習のない行動はない」というものである。その後、多くの多様なアクション・ラーニングの実践や解釈が出現するが、レバンスのオリジナルな原理は次の6つであると、レバンス協会が最近まとめている。 ・学習のための基礎として行動を要求する ・行動に基づく省察に導かれた個人的発達 ・正しい答えや専門家の知識に影響されないで、直面する問題に即して活動する ・問題は、個人的発達だけでなく、組織的発達を支援し、またそれを目指すものである ・お互いに支援し合い、共にチャレンジする仲間とともに活動する ・新しい疑問を探すことが、専門家の知識に近づくことよりも重要である このような原理に基づくアクション・ラーニングは、今日の産業界でも、訓練のためだけの訓練、すなわち実際の仕事と切り離された訓練からの脱却を目指すアプローチとして、また複雑な問題を解決し、最小限のコストで個人や組織を開発できる方法としてクローズアップされ、取り組まれてきている。 その具体的進め方について、高間邦夫は次のように説明している。まず現場を離れて設定された学習の場で、現場での現実的な問題について検討し、解決策を生み出す。次にそれを現場にもどって実践する。再び現場を離れた場でその実践を検証し、新たな解決策を生み出す。このサイクルを通して、参加した個人とともに組織の学習性を高めながら、組織的成果を生み出していく。また、吉田新一郎は、実際の業務からの学び、仕事そのものが学びである活動として、次のような進め方を紹介している。5〜6人のメンバーで一定期間、ほぼ一月に1回のペースで定期的に集まる。全員が常に自分の仕事について話す時間を持つ。聞く側は、アドバイスよりも、質問をしてあげる。この集まりで得た学びを即仕事に生かし、次の集まりにその結果を報告する。 現在では、アクション・ラーニングは、産業界もさることながら、組織としても、そこで働く人々にとっても大きな変化を求められている公的セクターにおいても試みられるようになってきている。 br> |
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参考文献 ・高間邦夫『学習する組織−現場に変化のタネをまく』光文社、2005。 ・吉田新一郎『「学び」で組織は成長する』光文社、2006。 ・Rigg, C. and Richards, Sue., Action Learning, Leadership and Organizational Development in Public Services, Routledge, 2006. |
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