生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2007(平成19)年3月15日
 
 

青少年と職場体験 (せいしょうねんとしょくばたいけん)

young people and job-experiencing program
キーワード : 職場体験、就業体験、職業能力の開発、インターンシップ、職業教育
坂本登(さかもとのぼる)
3.課題
  
 
 
 
   青少年の職場体験の推進は,学校が中心的役割を担って,一部を「学校行事」に,その多くを「総合的な学習の時間」に位置づけ,各学校の創意工夫を生かしながら,横断的・総合的に,児童生徒の興味・関心を尊重して展開されている。それは,事前学習としての職場見学,実際の職場体験,事後のまとめ・発表の三点セットで構成されている。ところが,教育力・資源には地域間格差があり,近年の,わが国における過疎・過密の二極化現象は,職場体験機会の地域格差をいっそう大きなものとしている。このため,都市と農山漁村,さらには過疎地がゆえに,青少年の「体験してみたい」という願いが阻害され制限されるような,職場体験機会の地域間格差の解消が重要課題として挙げられる。
 この企画・実施は,兵庫県の「トライやるウィーク」,埼玉県の「スリーデーズ」のように,はじめ県の教育委員会が企画・提唱し,実施主体が学校であったものを,後に,企画も実施も学校に移していくケースが多い。実施の際には,「就業体験」,「勤労体験」,「チャレンジワーク」,「夢わーく」,「チャレンジするDAY」,「わく(Work)わく(Work)Week 」,「キャリア スタート アウト ウィーク」など,多様な名称が冠されている。このことには,青少年のニーズと実施者の意図の融合,換言していえば,実施機関と青少年ニーズの調整が課題であることが反映されている。
 主たる対象学年は,高校では1年生,中学校では2年生とする例が多い。ただし,高知県の三原村立三原中学校が2〜3年,岡山県の新庄村立新庄中学校が1〜3年生を対象にするなど,小規模校では学年をまたいで実施する例もある。実施時期は,平常月に行われる例がもっとも多く,次いで夏・春の長期休暇中となっている。実施期間は,いずれの時期に実施される場合でも,3〜5日間が一般的である。しかし,これまでの学年,時期,期間で実施した場合とこれを変えて実施した場合の,青少年,学校,企業・事業所にもたらされる成果と問題点,メリット・デメリット等については検証がいまだ不十分である。今後は,たとえば,兵庫県教育委員会が「トライやる・ウィーク」評価検証委員会を設置したように,活動の評価を行う仕組みの整備と評価活動の推進がまたれる。
 また,最近,各県の教育委員会や校長会により県レベルの「進路指導研究会」「キャリア教育振興会」等の設置,「あいち・出会いと体験の道場」(中学生職場体験),「DO IT NOW! 彩の国子ども・学校支援プログラム」等のような県行政が一体となった総合的な支援体制の確立をはじめ,各地の技能士会連合会や経営者協会など,官民による指導及び情報提供活動が活発化の傾向にある。職場体験活動の成果を上げるためには,学校の自助努力に加え,受け入れる企業・事業体の理解と協力が不可欠であり,さらには,今後,学校と企業・事業所及びそれらの連合・連絡組織,地域とのいっそうの連携協力が求められる。
 平成16(2004)年3月29日,中教審の生涯学習分科会は,「今後の生涯学習の振興方策について(審議経過の報告)」で,今後の重点分野のひとつに「職業能力の向上」を挙げた。昭和20年代から30年代に職業教育で大きな実績を上げた社会教育はいま,時代を超えて,この提唱を受け止め,青少年の職業能力の向上にいかに貢献できるかが問われている。
 
 
 
  参考文献
・http://wwww.kochinet.ed.jp/mihara~/shokubataiken.htm
・http://www31.tiki.ne.jp/~shinjo-chu/2sogo/23sogo.htm
・http://wwww.pref.aichi.jp/gakuji/shinsei/dojo/jissi/shiryo2.pdf
・http://wwww.pref.saitama.lg.jp/A20/BP00/sien/index.htm
 
 
 
 
  



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